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森林火災、スーパー台風、洪水……。深刻化する環境問題、原因を作る金持ちは逃げ切り、一般人ほど割を食う現実<斎藤幸平氏>

1/25(土) 8:34配信

HARBOR BUSINESS Online

「大分岐の時代」-気候変動対策が人類の未来を決める

―― 斎藤さんのベストセラー『未来への大分岐』(集英社新書)は、気候変動問題が大きなテーマになっています。日本でもスーパー台風や酷暑といった気候変動の影響が身近な問題になっていますが、国際社会ではどのような議論が行われているのですか。

斎藤幸平氏(以下、斎藤): 世界の気温上昇をいかに抑えるかという具体策について、各国の足並みがそろわず、政府間レベルでの協議は手詰まりな状況に陥っています。

 5年前に採択されたパリ協定では、産業革命を起点に考えた気温上昇を2℃までに抑えることが目標とされました。しかし当初から、その対策内容が不十分であることが批判されており、温室効果ガス削減の2030年目標値の見直しを求める声が高まっています。ところが、昨年末の国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP25)は、そのような声に応えられませんでした。

 海面上昇にさらされる小国の島国は強い規制を求めており、EUが支援しているものの、アメリカ、中国、ブラジル、インドといった大国が消極的だからです。日本は、そもそも存在感すら示せていません。

 気候変動の対策には、2020年代の10年が決定的な意味を持ちます。このままの二酸化炭素の排出ペースでは、2030年には1.5℃を超えてしまい、かなり危険な段階に突入することになる。どんな行動を起こすかで未来が決まる「大分岐の時代」を私たちは生きています。
 それなのに国連会議では毎年同じような議論をして、結論を先延ばし。だからこそ、グレタ・トゥーンベリのような若者たちは怒っているのです。

 抗議活動をしているのは「未来のための金曜日」(グレタさんが毎週金曜日に学校を休んで環境問題を訴えてきたことから始まった、政治家へ環境問題に対する積極的なアクションを求めた抗議行動)だけではありません。ロンドンを中心とする「絶滅への反逆」(「Extinction Rebellion」、略称「XR」として知られる温暖化に対する政治的な決断を促すために非暴力の直接行動を用いる社会・政治的な市民運動)やアメリカの「サンライズ・ムーブメント」(若者主導の気候変動に関する政治運動)のように、世界各地で直接行動を重視する環境運動が盛り上がっており、そうした下からの運動が、政治にも影響を与えています。アメリカのバーニー・サンダースらが提唱しているグリーン・ニューディールなどは、そうした下からの運動の力によるものです。

 トランプを次の大統領選で当選させてはならないのです。彼は気候変動が起きているのを知っていながら、「否定」しています。気候変動を認めると、さまざまな規制を市場にしかねばならず、自分たちのような資本家が不利になるからです。

 グレタさんがスピーチで「システムを変えなくてはいけない」と強調していたのは、そのためです。

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最終更新:1/27(月) 17:28
HARBOR BUSINESS Online

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