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新型コロナウイルスの危険性を、人工知能が世界に先駆けて「警告」していた

1/26(日) 12:13配信

WIRED.jp

中国でインフルエンザに似た症状が相次いで発生していることを世界保健機関(WHO)が公表したのは、1月9日のことだった。湖北省武漢市で肺炎の集団発生が報告されており、感染源は武漢の「華南海鮮卸売市場」で販売されていた生きた動物の可能性があると報告されたのである。

急拡大する「恐ろしいシナリオ」を、科学者たちは“予見”している

このWHOの公表より早い1月6日に情報を流していたのが、米国の疾病管理予防センター(CDC)だった。ところが、それよりさらに早い12月31日に今回のアウトブレイク(集団感染)を知らせていたのが、カナダの健康モニタリングプラットフォーム「BlueDot」である。

BlueDotは、人工知能(AI)によるアルゴリズムを利用したシステムだ。外国語での報道や動植物の病気に関するネットワーク、そして公式発表を精査した結果を基に、今回のアウトブレイクが発生した武漢市のような“危険地帯”を回避するようクライアントに事前に警告する。

ウイルスなどのアウトブレイクは時間との戦いだ。中国の当局は病気や大気汚染、自然災害に関しては口を閉ざし、情報を公表してこなかった実績がある。しかし、WHOやCDCの担当者らは疾病をモニタリングするために、口が堅い中国当局の情報を当てにする必要がある。

こうした状況では、AIのほうが情報を素早く収集できるかもしれない。BlueDotの創業者兼最高経営責任者(CEO)であるカムラン・カーンは、「政府はタイミングよく情報を提供しないことがあります」と語る。「BlueDotはアウトブレイクの可能性を伝えるニュースや、何らかの異常な出来事が発生していることを示す小さなつぶやきやフォーラム、ブログを抽出できるのです」

海外への感染を正確に予測

カーンによると、BlueDotのアルゴリズムではソーシャルメディアの投稿は使用していない。というのも、データが乱雑すぎるのだという。

しかし、カーンには奥の手がある。全世界の航空会社の発券データを利用するのだ。発券データは感染した住民がいつどこへ向かうのかを予測するうえで役立つ。そして同社のアルゴリズムは、新型コロナウイルスが最初に出現してから数日後に、武漢からバンコク、ソウル、台北、東京に広がることになると正確に予測した。

カーンは2003年にSARS(重症急性呼吸器症候群)が流行した際に、カナダのトロントの病院で感染症の専門家として働いていた。そして、病気を追跡できるより優れた手段を見つけたいと強く願ったのだ。

SARSウイルスの流行は中国の地方都市で始まり、香港を経由してトロントへと拡大し、トロントでは44人の死者が出た。新型コロナウイルスのアウトブレイクについてカーンは、「まさに既視感を感じています」と語る。「わたしは2003年にトロントがSARSウイルスの勢いに打ちのめされ、病院機能がまひする様子を目撃しました。そしてわたしも、精神的にも肉体的にも疲弊してしまいました。そして、『二度と同じことを繰り返さないようにしよう』と思ったのです」

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最終更新:1/26(日) 12:13
WIRED.jp

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