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最後のフランス人全仏王者、ヤニック・ノア。しなやかな動きと瞬発力はテニス史の中でも異彩を放つ【レジェンドFILE9】

1/26(日) 6:00配信

THE DIGEST

 フランスの宮廷が発祥とされるテニスは、元来白人のスポーツだった。1960年代から70年代にかけて活躍したアメリカのアーサー・アッシュは才能抜群で知的な選手だったが、その肌の色のために様々な差別を受けた。

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 アッシュ以降、世界で活躍する黒人のテニス選手はなかなか出なかったが、そのアッシュがカメルーンで発掘した少年が後にフランスへ渡り、母国のナショナルフラッグ大会(全仏オープン)を制することになる。その少年=ヤニック・ノアは、引退後にデビスカップ、フェドカップの監督も務め、フランスで最も成功した黒人選手となった。

 No.1には届かなかったものの、ノアは個性的なテニスで人気を博したプレーヤーだった。彼は非常に身体能力が高く、黒人特有のしなやかな動きとパフォーマンスでファンを魅了した。

 得意としたプレースタイルはサーブ&ボレー。元来、クレーには不向きなスタイルだが、それで全仏を取ってしまったのだから、いかにネットでの動きが俊敏であったか、想像がつくというものだろう。

 分解写真で紹介したのはバックハンドリターンだが、これを見ても、飛びつきざまにラケット面をボールに合わせ、早いタイミングで弾き返しており、彼の瞬発力の高さが表れている。

 しかも、単にフィジカルに頼っているわけではない。テイクバックをコンパクトにし、身体の横向きを保ってスイングしている点などは、実に基本に忠実だ。余計なことはせず、必要なことだけ行なうからこそ、高い身体能力を生かせるのだろう。

【プロフィール】ヤニック・ノア/Yannick Noah(FRA)
1960年生まれ。ATPランキング最高位3位(86年7月)。グランドスラム通算1勝(RG:83年)。サーブ&ボレーを中心としたアグレッシブなプレースタイルに加え、陽気な性格で人気を集めた。83年にはフランス人選手として37年ぶりの全仏制覇を成し遂げた。これを最後に、地元選手の男子シングルス優勝者は出ていない。子供の頃にジミ・ヘンドリクスなどの音楽へ憧れを持ち、現役時代から歌手としても世界的に活動している。息子はNBAプレーヤーのジョアキム・ノア。

編集協力●井山夏生 構成●スマッシュ編集部

最終更新:1/26(日) 6:00
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