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かんぽ不正3社長辞任「官僚の人事」が郵政をいよいよつぶす

1/26(日) 8:01配信

現代ビジネス

「民間」とは遠い人物

 2019年末、日本郵政の長門正貢氏ら3社長辞任のニュースが世間を騒がせた。事の発端は、日本郵政傘下のかんぽ生命での不適切な商品販売である。

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 また、この問題が明るみに出たのと同時期に総務省幹部による行政処分情報の漏洩問題が起こっていた。これにより鈴木茂樹前総務事務次官は辞任。その後を追うかたちで、長門氏らも引責辞任となった。

 新たに日本郵政のトップに就いたのは、元総務大臣の増田寛也氏である。増田氏は「消滅可能性都市」への言及など、メディア露出も多い人物だが、官僚から政治家に転身した経歴の、「民間」とは遠い人物である。

 1月9日の就任後初会見で、増田氏は行政処分情報の漏洩問題に関して「調査を行うべく準備を進めている」と述べた。情報漏洩とは具体的に、総務省(旧郵政省)キャリアの先輩・後輩の関係である鈴木康雄・日本郵政上級副社長と鈴木茂樹前事務次官とのあいだで行われた。茂樹事務次官から康雄副社長に対し、行政処分内容を伝えたとされている。

 昨年の記者会見で長門前社長は「鈴木康雄氏が退職しているので、情報の漏洩問題での調査は行わない」としていた。新体制になり、これを翻したことはいいことだ。

 「辞めた人間を調べられない」というのは、民間でありがちな回答で、民間出身の長門氏らしい対応とも言える。一方で、元建設省キャリアで政治家出身の増田新社長は「説明責任」のようなことを考えたのだろう。

 増田氏のようなキャリア官僚であれば、各省の官僚の序列などは周知のはずだ。しかも増田氏は'07年8月から'08年9月まで総務大臣を務めている。そのとき、鈴木前事務次官も鈴木前副社長もともに部下であったはずだ。情報漏洩に関わった二人について多少なりとも知っているだろう。

 増田氏のほか、かんぽ生命には千田哲也氏、日本郵便は衣川和秀氏が新社長に任命された。千田氏と衣川氏はともに総務省(旧郵政省)キャリアである。9日の3社長が一堂に並んだ会見は、役人の会見を見ているかのような雰囲気だった。

 新体制の下、情報漏洩問題はある程度解明されるだろう。ただ、その原因は、結局のところ現役事務次官も先輩に逆らえない霞が関の強固な上下関係だ、と指摘されるにとどまるはずだ。官庁を離れた後も、退職時のポストと先輩後輩とがあるから、平然と天下りが行われる。キャリア官僚の常であり、新3トップも官僚時代は身の回りで当たり前のように起こっていた出来事だから、深い問題意識は持っていないかもしれない。

 それ以上に問題なのは、今後の郵政の経営である。小泉政権の時に「民営化」された郵政は、民主党時代に民間出身の幹部が追い出され、「再国有化」が進んだ。安倍政権では経営陣は民間出身に戻したが、今回の人事では元官僚が3トップとなり、まさに国営企業のようだ。

 今の郵政に必要なのは、民間の経営者による事業の徹底的な見直しである。民間の物流・金融業界は生き残りをかけた激動の時代を迎えているというのに、なぜ逆行するような人事を行うのか。官僚のせいで郵政が潰れる日が来ても、まったくおかしくない。

 『週刊現代』2020年1月25日号より

最終更新:1/26(日) 8:01
現代ビジネス

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