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File『フォードvsフェラーリ』~フェラーリに勝つ!技術屋二人の熱い挑戦

1/27(月) 17:06配信

中央公論

文・渡辺祥子 映画評論家

 若者に受ける車が欲しい米・フォード社は伊の名門フェラーリの買収に乗り出して一蹴され、しかも「現在の社長は創業者と違って無能」とバカにされた実話(!?)がモデル。

 それが発端で一九六六年のル・マン二四時間耐久レースの優勝がフォードの至上命令となり、企業版「ミッション・インポッシブル」が始まる。敵は六連勝の強豪フェラーリ。そこで、勝つための車作りに雇われたのが、マット・デイモン演じるアメリカ人で唯一ル・マンでの優勝経験を持つ名レーサー、キャロル・シェルビーだった。心臓に問題を抱えてカーデザイナーに転向していた彼は、偏屈な天才テストドライバーのケン・マイルズ(クリスチャン・ベール)を雇ってル・マン二四時間レースに挑戦する。

 テストドライブやレースのシーンをスピード感たっぷりに描いてゾクゾクさせる監督のジェームズ・マンゴールドは、互いにスピードに命を懸けてきた者同士、決して譲れない技術面での闘いで火花を散らしながら、そこに育つ男の友情を丁寧に描き出す。妻子を大切にするケンをキャロルは温かく見守るが、フォードの重役は不愛想な彼が嫌いだ。

 そしていよいよル・マンのレースが始まる。

 ここで見られるのが、フォード社がよくも映画化の許可を出したと思えるほどの重役連中の愚かさだ。彼らは自分の力を誇示したくて技術屋二人組のすることに口を出し、その結果は、技術屋二人組にはやるせない。

 そのやるせなさの仇を映画が討った、と考えるのが本作の正しい楽しみ方だと思う。


2020年」1月10日(金)より全国公開
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン

最終更新:1/27(月) 17:06
中央公論

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