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南野拓実の癖はリバプールの攻撃を停滞させる。改善が見られた2度目の先発、18歳のライバルは脅威に

1/27(月) 10:57配信

フットボールチャンネル

FAカップ4回戦、シュルーズベリー・タウン対リバプールが現地時間26日に行われ、2-2で引き分けて再試合が行われることになった。3日前のウォルバーハンプトン戦でプレミアリーグデビューを飾ったFW南野拓実は、センターフォワードとして先発して85分までプレーした。ライバルが目に見える結果を残す中で、南野自身も改善の跡を見せているが、染みついた癖が目についた。(文:加藤健一)

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●3部クラブを相手に苦戦を強いられたリバプール

 世界一の称号を手にしたチームが、イングランド3部で下位に沈む地方クラブに勝つことができなかった。

 5日のFAカップ3回戦でエバートンとのマージーサイドダービーを制したリバプールは、ウェールズとの国境に接するシュロップシャーの中央にホームタウンを構えるシュルーズベリー・タウンと対戦した。

 中2日でこの試合に臨んだリバプールは直近のリーグ戦から11人すべてを入れ替えた。DFジョエル・マティプ、DFデヤン・ロブレン、MFファビーニョは復帰後初先発を果たし、前線には南野とFWディボック・オリギを起用。さらに3回戦で決勝ゴールを決めたMFカーティス・ジョーンズやFWハービー・エリオットら、U23チームでプレーする選手たちがスターティングラインナップに名を連ねている。

 先制点は15分に生まれた。相手のスローインを左サイドバックのヤセル・ラローチが跳ね返す。これを受けた南野拓実がMFペドロ・チリベジャに渡すと、チリベジャのスルーパスにMFカーティス・ジョーンズがDFラインを突破して左足を振り抜いた。

 1-0で折り返して迎えた後半。右サイドバックのネコ・ウィリアムズがクロスを入れたが、味方には合わず。ファーサイドでシュルーズベリーの右ウイングバックを務めるドナルド・ラブはクリアしようとするが、これが味方のゴールネットに吸い込まれてしまった。

 試合はリバプールの理想的な展開で進んだ。少なくとも46分までは……。

●南野拓実はCFでプレー

 46分で2-0となり、戦前の予想通りの結果になると思われた。しかし、シュルーズベリーは64分にDFラインの裏を取ったFWジョシュ・ローレントが、ラローチに倒されてPKを獲得。ラローチには警告が与えられ、FWジェイソン・カミングスがPKを成功させた。

 リバプールには点差を広げる力も、1点差を守り切る余裕もなかった。75分、シュルーズベリーGKからのロングフィードはマティプが競り勝ったが後ろにそらしてしまう。これをカミングスが拾うと、ロブレンをかわして放ったシュートが同点弾となった。

 リバプールはMFアレックス・オックスレイド=チェンバレン、FWモハメド・サラー、FWロベルト・フィルミーノを投入するが得点は生まれなかった。試合は2-2のまま決着がつかず、アンフィールドで再試合が行われることとなった。

 85分までプレーした南野は3つのポジションをこなしている。71分にエリオットが下がってオックスレイド=チェンバレンが投入されると、南野は右サイドにポジションを移した。さらに79分にサラーがマティプに代わってピッチに入ると、オックスレイド=チェンバレン、チリベジャ、ファビーニョが一列ずつポジションを落とし、南野は左へと移動した。ウルブズ戦に続き、南野をさまざまなポジションで起用している。

 5-3-2で構える相手のブロック間に南野はポジションを取り、味方からのパスを引き出す。85分間プレーした南野は39回のボールタッチ、そして88.9%のパス成功率を記録している。当初から評価されていたディフェンス面での貢献に加えて、ビルドアップを助ける役割はデビュー戦から改善がみられている。

●ウィークポイントと適応のカギ

 ミドルサードでの動きとディフェンスにおけるプレーは、普段このポジションを務めるフィルミーノに通じるものを感じさせた。先制点の場面では南野が下りてきたところにジョーンズが上がってゴールが生まれている。しかし、シュートは39分に放った1本のみで、後半はフィニッシュに絡むことができなかった。

 ペナルティーエリアでのポジショニングは気になった。エバートン戦でもそうだったのだが、カットインのコースを消してしまう。ジョーンズやエリオットはカットインからのシュートを得意としているだけに、南野のポジショニングの癖は攻撃を停滞させてしまった。

 古巣ではそれでよかったのだろう。冬まで所属したザルツブルクは縦への突破の優先度が高い。アタッキングサードのニアゾーンでボールを持ったとき、縦へ走り込んでタッチライン際に運んでゴール前に折り返すというのは、UEFAチャンピオンズリーグで何度も見られた得点パターンだった。

 しかし、リバプールでは優先順位が逆の選手が多い。前線の選手は利き足と逆のサイドに配置される。似たプレースタイルの両クラブだが、アタッキングサードでの崩しのパターンなど、ディテールには違いも多い。このあたりが今後の適応のカギを握るかもしれない。

 とはいえ、後半にチャンスが作れていなかったのはチーム全体の問題だった。復帰組のセンターバックコンビは再三にわたって裏を取られてピンチを招いた。少なくとも3回はあったGKアドリアンのビッグセーブがなければ、ジャイアントキリングが現実になっていただろう。

 中盤のかじ取り役を務めるファビーニョも精彩を欠いた。パスはずれ、不用意なボールロストを招く。結果としてリバプールは全体が間延びして相手を敵陣に押し込むことができず、相手のカウンターは何度もリバプールゴールを襲った。

●10代のライバルの存在

 この試合に先発したエリオットやジョーンズは今後の出場機会を争うライバルになるだろう。18歳のジョーンズはカップ戦を中心に試合に出場しており、カラバオ・カップではアーセナル戦でアシストをマークし、FAカップでは2試合連続でチーム唯一の得点者となった。ウイングでの起用も可能で、かつてクラブで10番をつけたMFフィリッペ・コウチーニョを彷彿とさせるミドルシュートを備えている。

 エリオットは16歳ながら、カップ戦すべてに先発している。テクニックと精度の高い左足のキックを併せ持ち、右サイドでタメを作れる存在だ。サイドバックのネコ・ウィリアムズとの練度の高いプレーはこの試合でもっともポジティブな成果だったと言えるだろう。

 3部相手に敗退の危機へのショックを引きずる間もなく、試合は続いていく。リバプールはFIFAクラブワールドカップ参加のために延期されていたウエストハム戦が3日後に控えている。

 プレミアリーグは2月に変則的な約2週間の中断期間が設けられている。しかし、リバプールはこの引き分けにより、リーグ戦の中断期間に再試合が行われることになった。試合後にユルゲン・クロップ監督は再試合でトップチームの選手たちを起用せず、自身も指揮をとらないことを明言している。過密な変則日程の中で、南野はどのようなパフォーマンスを見せることができるのだろうか。

(文:加藤健一)

【了】

最終更新:1/27(月) 12:18
フットボールチャンネル

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