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資生堂、「バブル世代」50代向けマーケ手法を大刷新した理由

1/27(月) 6:00配信

日経クロストレンド

 資生堂の50~70代向け総合美容ブランド「PRIOR(プリオール)」は、今の50代を構成する“バブル世代”に向けてマーケティング手法を刷新する。好景気時代の前向きさと人生100年時代への不安との間で葛藤している50代は、かつてと比べて価値観や美容への消費行動が異なるためだ。

●技術力にあぐら、失敗から生まれた人気ブランド

 シニア世代が存在感を増し、化粧品市場における50歳以上の購入金額構成比が46.7%を占める中(2013年、資生堂調べ)、プリオールはシニア世代向け総合ブランドとして2015年に誕生した。ブランドコンセプトは「大人の七難 すんなり解決 プリオール」。体の大きな変化を経て、以前とは違う肌や髪の悩みが多く出てくると同時に、体力も低下し始めるのがこの世代。そこで「下がる」「凹凸」「影」「色」「乾く」という見た目の悩みに加え、「見えにくい」「おっくう」という体の機能や意欲の低下にも対応し、簡単に使えるアイテムをそろえたところ、発売から毎年2桁成長を続ける人気ブランドとなった。

 資生堂は1989年から「サクセスフルエイジング」をキーワードに、シニア層向けブランドを複数展開している。だが、いずれも定着しなかった。その理由を資生堂リージョナルブランド部プリオールGブランドマネージャーの河合有起氏(組織名・肩書は2019年12月時点)は「肌老化への知見にあぐらをかいていた。肌の悩みを解決できる技術があれば受け入れてもらえると思い込んでいたことが原因」と分析する。そこで約7000人を対象に家庭訪問などを行い実態調査したところ、開発側とユーザー側との間で認識のギャップがあることが分かったという。

 「例えばメークではしわが増えてくる年代には、しわにたまりやすいパールはNGだと考えていた。しかし、いくつになっても光るものは大好きだし、スキンケアでは化粧水よりも浸透力のあるジェルを好む。見やすいようにと拡大鏡を付けていたが、見たくないものまで見えると不評だったなど、多くのインサイトを得た」(河合氏)

 特に50~70代は美容に対する関心や化粧への積極性といった“美容関与”の変化が、他の世代に比べて大きいという。河合氏はその変化を「50代はランクアップした美しさを求めて時間もお金も惜しまない一方、更年期を経て60代になると、手を加えすぎず、ありのままの自分でいたいと美容関与は低くなる。ところが70代になると再びドライブがかかり、まだまだチャレンジを続けたいという前向きな気持ちになる」と説明する。

 50、60、70代すべての世代で、「私らしく輝きたい」という共通した意識があることも分かった。「女であることを諦めず、加齢と上手に付き合いながら、自分らしく、内面からも輝いていたいという気持ちはシニア世代が共通して持っている。だが、加齢に伴い悩みが増えるのも事実で、理想と現実とのギャップが一番大きい世代でもある。体力も気力も若い頃ほどはなく、何事に対してもおっくうになってしまう。そこで、おっくうという気持ちを含めた“大人の七難”をコンセプトにした」(河合氏)。

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最終更新:1/27(月) 6:00
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