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自国の防衛に宇宙の活用を決意|日本の宇宙政策(1)

1/28(火) 15:04配信

nippon.com

21世紀のスプートニク・ショック
青木 節子

「中国の宇宙戦略」を7回にわたって検証した「シリーズ・21世紀のスプートニク・ショック」に続いて、今回から「日本の宇宙政策」を連載します。宇宙を自国の防衛のために活用することに、G7構成国の中で一番遅かった日本。世界情勢の不透明さが増す中、取り組みを大きく変更せざるを得なくなった日本の宇宙政策を考えていきます。

非核兵器国としての論理

「宇宙などの領域に早期の優位性を」――。2018年12月に閣議決定された「平成31年度以降に係る防衛計画の大綱について」(以下、「現防衛大綱」)は、宇宙の利用について、これまでの防衛大綱を大きく超える発想を採用しています。

初めて宇宙空間を防衛目的のために利用することを明記したのは、10年12月に決定された防衛大綱でしたが、宇宙空間を使って情報収集をする、ということにとどまっていました。その3年後、初めての「国家安全保障戦略」と同時に策定されたのが前防衛大綱(2013年12月決定)です。多様な衛星を用いた情報収集や指揮統制・情報通信能力の強化、光学やレーダーの望遠鏡で宇宙空間を監視し、日本や同盟国・友好国の衛星が安全に運用できるように監視すること(宇宙状況監視=SSA)。これらが宇宙を用いた具体的な防衛策として記載されるようになり、防衛目的の宇宙利用はより積極的となります。

現防衛大綱は、さらに進めてデータ・情報収集の場であるだけではなく、陸・海・空という伝統的な空間での防衛力に「宇宙・サイバー・電磁波といった新たな領域」の能力を融合。その相乗効果により全体としての能力を増幅させる、という領域横断作戦を採用することとなりました。陸、海、空、宇宙、サイバー、電磁波の中のいずれかの領域の能力が潜在的な敵に対して劣勢である場合にも、すべての領域の能力を有機的に組み合わせることにより、総合力で優位に立ち、日本の防衛を全うする、という考え方です。特に「宇宙・サイバー・電磁波といった新しい領域における優位性を早期に確保すること」が求められているのは、非核兵器国として必然的論理、と言えるでしょう。

日本ではサイバーと宇宙がほぼ同時期に、国民の生活を豊かで安全なものにするとともに、防衛目的にも有効利用できる手段・場所と認識されました。しかし、世界の主要な国々は、これまで半世紀以上、宇宙を国防のために使う場所であるとし、そのためにどのような秩序を国際的に形成するのが、コストが低く、かつ、民生・商業利用上の利益を最大化できるか、ということを考えてきました。

各国では、宇宙は国防にとっても、すでに伝統的な空間で、サイバーが新たな領域、と考えられています。宇宙を安全保障、防衛という観点から活用するという点において、日本は例えば先進国7カ国(G7)構成国の中では最も遅い国と言ってもよいでしょう。宇宙活動を始めたのが遅かったからではありません。日本では2008年まで、宇宙を防衛目的で利用することが実質的に禁止されていたからです。

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最終更新:1/28(火) 15:04
nippon.com

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