ここから本文です

新型コロナウイルスの感染拡大は、世界の医薬品供給にダメージを与える危険性がある

2/6(木) 12:04配信

WIRED.jp

新型コロナウイルスの症例が世界中で報告されるなか、トロントやシカゴ、ニューヨークなどでは、人々が入手可能な限りマスクを購入しようと店舗に駆けつけている。2月4日の時点で米国で発症が確認されたのはたった5名、カナダにいたっては1名だけだが、大事をとって身の安全を確保したいと考える人もいるのである。

【画像】中国・武漢で、いま起きていること

中国が感染源とされるウイルスから身を守るために必要な防護具は、恐らく中国製だろう。そして、その中国製マスクの売り切れが続出している事態は、ある意味このアウトブレイクがもたらす根深い問題を暗示している。

人々は日常的に、命にかかわる製品の供給を中国企業に依存している。完成品である医薬品は米国などほかの国で生産されているにしても、中国は世界最大の医薬品有効成分の生産国である。新型コロナウイルスの影響を感じるのは時期尚早であるが、アウトブレイクによってその供給に不確実性が加わってきている。

「このアウトブレイクは、まさに最悪のシナリオで何が起こりうるのかを浮き彫りにしています」と、ジョンズ・ホプキンス大学健康安全保障センターで感染症を専門とする医師のアメッシュ・アダルジャは指摘する。彼は重要な医薬品や医療用品を中国などの他国に大きく依存している実情が、国家安全保障にもたらす意味について警告している。

「供給に関するどのような問題や供給不安が生じても、医薬品の供給が脆弱になります。このアウトブレイクによってサプライチェーンの安定性が損われないか懸念されます」

どの原料が中国原産なのか?

武漢は中国最大の医薬品の製造拠点ではない。だが、かつて重工業と鉄鋼で知られたこの都市は、バイオ医薬品の研究開発の中心地として急成長した。

中国中部の湖北省にある人口1,100万人の都市・武漢では、道路が閉鎖され、飛行機や列車が停止されて交通封鎖の状態になっている。湖北省の16都市でも同様の旅行禁止が命じられた。上海は旧正月の休日を延長し、企業に2月3日までの休業を指示した。アウトブレイクの進展に伴い、他の対応策も検討されるだろう。

製薬会社は供給の混乱が生じた場合、米国食品医薬品局(FDA)に通知することが義務づけられている。「現時点ではメーカーから影響についての報告は受けておらず、今後も引き続きメーカーと連絡をとっていきます」と、FDAはコメントを出している。

だが、「中国は世界中の製薬工場に原材料を出荷していますが、現時点では各地でその在庫が維持されているいます。薬剤不足が供給に影響を与えるまでに、数カ月かかるかもしれません」と、ユタ大学健康学部の薬剤不足に関する専門家で薬剤師のエリン・フォックスは言う。

「最大の問題は、どの重要な医薬品のどの部分が中国原産なのか、そして工場が具体的にどこにあるのかといった公開情報がないことです」と、フォックスは続ける。製薬会社はこのような情報を専有情報とみなすからだ。「どのくらいの数の製品が唯一の供給源に依存し、文字通り世界でたったひとつの場所で原材料が生産されているのか。それは未知の大きな問題のひとつです。これに関していい情報はまったくありません」

FDAによると、370種類の必須医薬品の有効成分を製造する世界の施設の15パーセントが中国に存在し、米国には21パーセントが存在するという。しかしFDAは、それらの施設が何らかの医薬品有効成分を製造しているとしても、どの程度の量を生産しているのかを把握していない。

1/2ページ

最終更新:2/6(木) 12:04
WIRED.jp

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事