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地獄か…健康診断「まさかの異常発見」で絶望した人たち

2/8(土) 8:01配信

現代ビジネス

AI検査が新たな不幸を生む

 「あの検査を受けて以来、生活は想像を絶するほどに激変しました。自分の意思とは関係なく、毎日大量の失禁が起きて、1日に尿漏れパッドを10回以上交換するのです。

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 『しばらく経てば、改善する』という医師の言葉を信じて待ちましたが、あれから1年経っても治らず、家族からは『臭う』と疎まれる。病気を予防するために検査を受けたはずなのに、なぜこんな目に遭うのかと、今も苦しみ続けています」

 後悔の念を滲ませるのは、山本隆さん(仮名、72歳)だ。

 人一倍、健康に気を遣っていた山本さんは昨年、自治体の健康診断のオプションで、前立腺がんの有無を調べるPSA検査を受診。「がんの疑いがある」と言われ、慌てて精密検査を受けると、前立腺がんとの診断が下った。

 「早く見つかってよかったですね」。そう言われて喜んだ山本さんは医師に勧められるがまま、前立腺の全摘手術を受け、その結果、重い後遺症を抱えることになってしまったのだ。

 「術後、いろいろ調べると、高齢者の前立腺がんは切らずに温存するという選択肢もあった。小さながんを見つけてしまったばかりに、今のつらい生活があると思うと、悔やんでも悔やみきれません」(山本さん)

 今月初め、米グーグルは、乳がんのマンモグラフィー検査で、AIが人間の医師よりも高い精度でがんを発見することに成功したと発表し、がんの早期発見に役立てるビジョンを明らかにした。

 それだけ聞くと、進行がんに苦しむ人がいなくなる輝かしい未来に近づいているような気もする。

 だが、病気を初期段階で見つけることには、思いがけないワナがある。

 「多くの人が検査で病気を早く見つければ安心だと考えていますが、それは間違いです。

 小さな病気も見逃さないようになればなるほど、かえって、『本来なら、治療せずに放っておいても問題のなかった病気』が見つかる可能性が高まります。すると、不要な治療を受けるリスクも上昇するのです」(東海大学名誉教授の田島知郎氏)

 AIのおかげで病が見つかったところで、患者が幸せになる保証はない。それどころか、皮肉にも過剰な医療に殺されるケースが増えるかもしれないのだ。

 高齢者の場合、身体に不調のない人はほとんどいない。むしろ、異常を抱えながら騙し騙し生きているほうが正常なくらいだ。

 それをわざわざ検査で診断し、「病気ですから治しましょう」と強いるのは医者のエゴに近い。特別な不調がないなら、やたらと検査を受けないのが、最大の自己防衛になる。

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最終更新:2/8(土) 10:16
現代ビジネス

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