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中外製薬、時価総額で「武田超え」寸前のわけ

2/9(日) 5:50配信

東洋経済オンライン

 首位逆転なるか――。売上高で製薬業界6位にすぎない中外製薬の時価総額が、首位の武田薬品工業に迫っている。

【グラフ】中外製薬の時価総額は、製薬業界首位の武田薬品に急接近している

 1月30日、中外製薬は2019年12月期の決算を発表した。売上高は前期比18%増の6861億円、営業利益は同69%増の2105億円。売上高、営業利益とも過去最高を更新した。

 決算発表翌日の1月31日、中外の株価は前日比7%高の1万1265円に急騰した。その後も株価は上昇し続け、2月7日には時価総額6.8兆円に達した。製薬業界で現在首位の武田の時価総額は約7兆円。その差は約2200億円にまで肉薄している。全上場3772社の中でも12位に位置する。

■冴えない武田薬品の株価

 武田は2018年初に、約6兆円を投じてアイルランドの製薬大手シャイアーを買収すると発表した。5兆円近い有利子負債や減損リスクのあるのれん4兆円を抱えることが嫌気され、株価は2018年に約40%下落した。一方の中外製薬は2018年に株価が約10%上昇。2018年9月に武田を上回る時価総額首位の座に初めてついた。

 武田が2019年1月にシャイアー買収を完了し、第三者割当増資による株数増などで時価総額が膨らむと、武田が再び首位の座を回復したが、その後も武田の株価は冴えない。

 一方、中外の株価は2019年も2割上昇。2018年初に比べおよそ2倍の水準にある。2020年に入ってからも上昇が続き、時価総額の首位奪回をうかがっている。

 中外の絶好調業績の背景にあるのは、同社が自社で創製した血友病治療薬「ヘムライブラ」の拡大だ。

 2018年5月に発売を開始した同薬は、2019年の1年間で1500億円超を売り上げた。大型薬の目安になる年間売上高1000億円を発売2年目でクリアし、急速に成長しているヒット薬だ。

■注射は週1回、負担が軽いヘムライブラ

 血友病は遺伝子に異常があり、出血すると血が止まりにくくなってしまう病気だ。既存の血友病治療薬は週に2~3回静脈に注射しないといけないが、ヘムライブラは週に約1回の皮下注射で済む。

 患者への負担が軽いうえ、既存薬の耐性ができた患者も使うことができる。「患者が治療薬を切り替えるスピードが想定より速く、急速に浸透していった」(中外のIR担当者)。

 実際、ヘムライブラの発売以降、既存の血友病治療薬の競合製品は総崩れになっている。血友病治療薬でそれまでシェア4割程度を握っていたのが、武田が買収したシャイアーだった。その主力薬「アドベイト」の売上高は2019年3月期に1891億円あったものの、2020年3月期は2割ほど落ち込み、1500億円程度になりそうだ。フランスの製薬大手サノフィも2019年7月、血友病薬の落ち込みによって約2000億円の減損損失を計上した。

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最終更新:2/9(日) 5:50
東洋経済オンライン

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