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『パラサイト 半地下の家族』ポン・ジュノ監督インタビュー「人間は、愚かなもの。わかっていても過ちを繰り返す」

2/10(月) 19:00配信

GINZA

毎作品、社会問題を織り込みつつ、極限状態に表れる人間の本質を鋭く描きながら、唯一無二の「エンタテインメント」に仕立て上げるポン・ジュノ監督。最新作『パラサイト 半地下の家族』ではその最高潮に達した。カビ臭い半地下に住む貧しいキム一家と、高台の大豪邸に住む裕福なパク一家が、ある仕掛けによって出会い、想像を絶する怒涛の展開にもつれこむ。世界中で深刻な問題となっている格差を皮肉り、ケラケラと笑わせながら、最後には観客自身の胸に鋭い問題を突きつける手腕は鮮やか。韓国映画で初めてカンヌ国際映画祭のパルムドール賞に輝き、先日はゴールデン・グローブ賞・外国語映画賞を受賞した。どのようにして作品が生まれるのか。来日したポン・ジュノ監督に話を聞いた。

──『パラサイト 半地下の家族』(以下、『パラサイト』)はたくさん笑い、ドキドキさせられ、後半はボクシングのストレート・パンチを受けたあとに、柔道で背負い投げをされたような衝撃を受けました。

ジュウドー?素敵な比喩ですね(笑)。アリガトウゴザイマス。

──富める者と貧しい者、住む世界は違っても共存できるものと頭で理解しているはずなのに、無意識下、肉体レベルでは受け入れられないものなのだろうか、と鑑賞後は忸怩たる思いにかられました。

それはこの映画の主題でもあると思います。この物語にはわかりやすい悪人や悪魔は登場しません。誰一人、悪い人はいない。けれど、複雑に入り組む関係のなかで、予期せぬ悲劇が起きてしまいます。悪意を抱いているわけではないのになぜ、このような悲劇になるのか。資本主義社会のなかで、共に生きていくことの難しさを考えさせられるストーリーなのだと思います。

──現実には交わるはずのない2つの階級の人々が、息を感じられるほどの距離まで近づいたら?というところから着想されたと伺いました。脚本に4年かけたそうですが、次々に起きるエピソードを繋げて紡いでいったのですか?それとも登場人物を追いかけるうちにこのような物語に広がったのでしょうか。

2013年に最初のアイデアが浮かび、4年近く構想しましたが、実際にパソコンでシナリオを書いたのは4ヶ月くらいなんです。貧しい家族が一人ずつ裕福な家に侵入するという、物語の前半部分がまず浮かびました。そのあとに何が起きるのか、明確な答えは出ず、曖昧なままアイデアを持ち続けていたんです。それが最後の4ヶ月で、渦のように後半に巻き起こる騒動、エンディングのクライマックスが、あるとき、まさに降って湧いてきました。
ですから、ほかの作品に比べて、『パラサイト』の執筆期間は短かったと思います。これまで8本の作品を撮りましたが、シナリオを書くアプローチは毎回違います。『パラサイト』の場合は設定が先に生まれて、どのような人物かというのは、あとから入れ込んでいきました。その都度、人物のとる行動をみながら、なぜ、このようなことになったのかを追いかけていったような形です。

──『パラサイト』を執筆中もほかの作品を手がけておられたと思います。いつもどのくらい同時進行で制作されているのですか?

複数の作品が絶えず重なり合っています。『殺人の追憶』(03)を撮りながら『グエムルー漢江の怪物―』(06)を構想していましたし、『グエムル』を撮影中には『母なる証明』(09)のシナリオを共同脚本のパク・ウンギョさんが書いていました。『グエムル』を撮る直前に『スノーピアサー』(13)の原作のフランスの漫画を読んでいましたから、『グエムル』と『母なる証明』を撮っているときには、すでに『スノーピアサー』の物語が頭のなかで進行していました。また、『スノーピアサー』を撮影しながら、『パラサイト』の構想を練っていました。いまも新作を2本準備していますが、その物語は「オクジャ/okja」(17)を撮っているときから頭のなかにありました。

──混乱しないのでしょうか?

アハハ。別の作品が混じり合ったり、混乱するということはありません。頭のなかに仕切りがあるのです。お弁当箱の仕切りのようなものです(笑)。お弁当箱の中のおかずは混じり合わないでしょう?

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最終更新:2/10(月) 19:00
GINZA

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