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未来の人事は「誰一人取り残さない」:サーキュラーHR

2/10(月) 17:14配信

オルタナ

欧州から始まったサーキュラーエコノミー(循環型経済)の潮流は、世界中で広がりを見せているが、人事制度はどう変わるのだろうか――こんな命題を掲げたサイトがリリースされた。名付けて「サーキュラーHR」だ。「誰一人取り残さない」「未来の当たりまえ」「雇用からの脱却」などをテーマにこれからの人事のあり方を若者に問いかける。サーキュラーHR編集長の稲葉哲治さんに聞いた。
*この記事はサーキュラーHR(株式会社Waris運営)からの転載記事です。

――まずは、てつさん(編集長)がサーキュラーHRを立ち上げようと思った理由をあらためて教えてください。

稲葉:もともと、僕は「エシカル」といって、「人と社会のサステナブル(持続可能)な関わり方を、ファッションや食を通じて応援していこう」という活動を7年ほどやっていたんですね。具体的には、環境に配慮したものづくりをしている企業の商品を積極的に買うとか、社会貢献活動を行っている企業を支援するということです。

エシカルという言葉が日本に入ってきたのは2012年末ごろです。当時、僕は人事関係の仕事をしていたのですが、学生たちに教えてもらって初めて知りました。これからの社会では、あらゆる領域でエシカルが主流の考え方になると直感し、そちらに軸足を移していきました。



「人事領域でエシカルを広めていきたい」ということも、実は2013年くらいから考えていて、本業として人材系のメディアで働くかたわら、構想を練っていました。「人的資源」という表現に抵抗がある方もいると思いますが、僕は初職でセゾングループの人材会社に入ったころから「人材とは一番価値のある資源だ」と教えられてきました。その人という「資源」を、使い捨てるのではなく、社会の中で育て、持続的に活躍できる仕組みを整えていくことが必要で、それはエシカルの活動と、根本的に同じだと感じていたからです。

ここ数年、人事関係の方々の間で、エシカルへの関心が高まっていることを感じます。人事としてお仕事をされている方々は、社会の変化にとても敏感です。今こそ、循環型社会に関心のある人事の方をもっと巻き込んで、この価値観を広めたいと考えたんです。

――そんな流れの中で、2019年1月、Warisにジョインしたんですね。

稲葉:そうですね。エシカルに関心のある人事関係者の集まりを個人的にやってきて、一定の手ごたえを感じていました。もっと具体的な形にしたいと思ったタイミングで、Warisに入社しました。Warisは僕がこれまでやってきたことと、すごく近い価値観の中で事業を行っている会社だと感じたんです。メンバーと「エシカル+人事」について議論を重ねる中で、「事業化しよう」「まずはメディアとしてこの世界観を広めていこう」というところに行きつきました。

――メディアの名称を「エシカル人事」ではなく「サーキュラーHR」としたのはなぜですか。

稲葉:「エシカル」ではなく「サーキュラーエコノミー」と関連づけようと思ったのは、現行のシステムの中で行動を変えるのではなく、社会全体の変革が必要だと思うようになったからです。

人材業界ではSDGsという言葉が流行していますが、残念ながら多くの企業でSDGsが単なるチェックリストになっていて、行動につながっていないことに違和感を持っていました。「このポイントはわが社でも達成できている」「この事業部はここができてないからだめだ」という議論はあっても、「自分たちが当事者だ」ということまではなかなか行き着かないのが現状だと思うんです。

もちろん間違いではないのですが、やはり現行のシステムの中での行動規範を示しているエシカルやSDGsよりさらに高い次元のもの、社会全体を変革する原動力になる価値観が必要だと感じたんです。

サーキュラーエコノミー(循環型経済)とは、これまで「廃棄物」とされていたもの、活用されず捨てられていたものを「資源」として活用することで、モノと経済を循環させる新しい仕組みのこと。地球環境や経済に持続可能性を持たせなければ、ビジネスを続けることが難しくなるという危機感から出発しています。ビジネスモデルや社会システム自体の変換を促す考え方なんです。

ヨーロッパを中心に、ビジネス界で当たり前の価値観になりつつあるのですが、日本では、まだほとんど知られていません。日本企業もサーキュラーエコノミーの考え方を取り入れていかないと、気づいたら世界経済の蚊帳の外……という状況になりかねないです。

そんな危機感もあり、サーキュラーエコノミーによって経済システムが大転換した後の人事制度がどうなっていくのかを考え、見てもらうことが社会の変革を早めると考えました。企業で人事に関わっていて「エシカル」や「サーキュラーエコノミー」を知らない方はまだ多いと思います。循環型経済がスタンダードになったとき、既にその価値観を取り入れていれば、ビジネスにとって大きなアドバンテージになります。「サーキュラーHR」を通じて、まずは人事の方たちと未来のビジョンを共有して、つながっていきたいですね。

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最終更新:2/10(月) 17:19
オルタナ

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