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【新刊紹介】「住活」のすすめ:太田垣章子著『老後に住める家がない!』

2/10(月) 12:05配信

nippon.com

斉藤 勝久

高齢になればなるほど、賃貸しの部屋・家が借りにくくなっている。入居者の滞納、孤独死、認知症…。「高齢者に貸したくないわけではないが、若い人に比べて問題が多い」という家主。日本の住宅事情の難問が、本書でよく理解できる。

本のタイトルが気になったので読んでみたが、やはりショッキングな内容だった。著者は、延べ2300件以上の家賃滞納など賃貸しトラブルの解決に携わってきた司法書士。本書にはその体験に基づく生々しいケースが多く記されている。

大家が一番恐れているのは、入居者の孤独死。遺品整理に多額の費用と時間がかかり、家主負担となることも少なくない。その間、部屋代の収入はない。次の入居者がなかなか見つからず、建物取り壊しとなることもある。

高齢入居者が他の入居者とトラブルの原因となることも多い。認知症が進み、親族が面倒を見ないと、共用部分を汚したり、耳が遠いのでテレビが大きな音となったりする。若い人はネット社会に合った所に転居していくので、古い建物には高齢者が残りがち。いざ、大家が建て替えのため入居者に退去をお願いしても、高齢者はほかの大家から敬遠されるので転居先が見つからず、建て替えもできないという悪循環も起きている。

著者は「今後、高齢者が賃貸物件に住むことも多く想定される中、民間の家主だけがリスクを背負わされるのはあまりに酷。行政とも連携して、社会全体が高齢者をサポートする姿勢が必要です」と主張する。

また著者は、自分のライフプランに合った「終の棲家」を得る「住活」を勧める。まず60歳代で自分の収入を確認して、生活費にいくら必要かを計算。家賃にかける金額がわかったら、自分が最期まで住めるであろう築年数の物件に、70代になるまでに最後の引っ越しをするのが一番安全、と説いている。

【Profile】

斉藤 勝久 SAITO Katsuhisa
ジャーナリスト。1951年東京生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。読売新聞社の社会部で司法を担当したほか、86年から89年まで宮内庁担当として「昭和の最後の日」や平成への代替わりを取材。医療部にも在籍。2016年夏からフリーに。ニッポンドットコムで18年5月から「スパイ・ゾルゲ」の連載6回。同年9月から皇室の「2回のお代替わりを見つめて」を長期連載。主に近現代史の取材・執筆を続けている。

最終更新:2/10(月) 12:05
nippon.com

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