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企業が取り組む「カーボンオフセット」には、もろ手を挙げて賛成できない事情がある

2/10(月) 19:11配信

WIRED.jp

米国の格安航空会社(LCC)であるジェットブルー航空は、同社の航空機が排出する温室効果ガス150~170億ポンド(約680万~771万トン)分をオフセットすることを2020年1月に発表した。同社はカーボンクレジットの購入に加え、サンフランシスコ国際空港の発着便において、よりクリーンな燃料を使用するという。

かくしてEtsyは、業界全体のカーボンオフセットを1社だけで実施した

素晴らしい!と言いたいところだが、本当のところはどうなのだろうか。

オフセットは「最後の手段」

米国のあらゆる企業が、環境意識の高さを示す実績をつくろうとしている。そんな企業にとって、カーボンオフセットは最強の選択肢のようにも思えるだろう。

投資ファンドや大学の年金基金、セメントメーカー、家庭用暖房システムの販売会社、グーグルやアマゾンなどの大手テック企業、ライドシェア大手のLyftにいたるまで、あらゆる組織がジェットブルーと同じようなオフセット活動に取り組み、カーボンフットプリントを削減していると主張する。

だが一部には、より厳格な気候変動対策をとらない口実として、こうした取り組みが進められているのではないかという批判の声もある。方法を誤れば、カーボンオフセットは単なるマーケティングキャンペーンになりかねず、あげくの果てに企業による環境破壊を助長することにもなりうるのだ。

企業がカーボンオフセットのためにクレジットを購入すると、温室効果ガス削減を目指す社外のプロジェクト(例えば、ウシのげっぷやおならによって発生するメタンガスをバイオ燃料に変える巨大マシンの導入や、インドネシアでの植林活動など)に資金が投じられることになる。ただし、オフセットの買い手である企業自身が、ビジネスのやり方を変えるよう迫られることはない。

カーボンオフセットを支持する人たちの主張はこうだ。これは製造のプロセスを厳しく管理し、オフィスの冷暖房を控え、配送トラックの燃料をクリーンなものに変えるなど、環境汚染を減らすためにできることをすべてやり尽くした場合にのみ使える手段なのだと。

カーボンクレジットの購入を、「何もしないよりいいのは明らかです」と評するのは、オックスフォード大学で「サステナビリティの経済学プログラム(Economics of Sustainability Programme)」を率いるキャメロン・ヘップバーンである。

この仕組みはまた、顧客を見つけにくい環境保護活動や技術、サーヴィスを経済的に支えてもいる。「大気中に溢れる二酸化炭素を除去しなければならないことは、誰もが知っています。そしてカーボンオフセットは、関連市場の活気づけにも一役買っているのです」と、ヘップバーンは言う。

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最終更新:2/10(月) 19:11
WIRED.jp

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