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「介護してないから500万円」と言われた弟が1,850万円を相続

2/11(火) 12:00配信

幻冬舎ゴールドオンライン

誰でも一度は経験するであろう相続。しかし、「争続」の言葉が表すように、相続に関連したトラブルは尽きない。なかには、生前の対策によっては避けられたであろうトラブルも多く、相続を見越した行動が求められる。本記事では、法律事務所に寄せられた相続事例を紹介する。

遺産分割の話し合いをしてくれない兄だったが…

<相談内容>

父が死去し、これは相続手続きをしなくてはならないと思い、遺産を調べてみたところ、500万円程度の預金と不動産(土地・建物)がありました。

母は3年前に亡くなっており、あとは兄がいるだけでしたので、この遺産の分け方を話し合おうとしていました。

しかし、兄は事業を営んでおり、予定を合わせようとする度に「忙しい」とだけ言われ、なかなか会うことができませんでした。

父が亡くなってから早3ヵ月が経過してしまい、これでは埒が明かないと、兄を直接訪ねたところ、突然「お前には500万円しかやらない」と言われてしまいました。その後、兄は何も言ってもくれず、だんまりを決め込んでしまいました。

話をしようとしても、取りつくしまもなく、全く相続手続きができずに困っています。

どうすればいいでしょうか。

「亡父の介護をしたのは自分達」と主張

<結果>

本件は、父親が死亡し、相続人は長男A、次男Bの兄弟2名というケースです。

遺産は500万円程度の預金と不動産(土地・建物)であり、遺言書は作成されていませんでした。

Aは遺産となる土地・建物上で事業(代々続く家業ではなく、Aが個人で興した事業)を営んでおり、法定相続分での相続を求めるBに対してなぜか「お前には500万円しかやらない」の一点張りで、話ができない状態でした。

そこで、Bの依頼を受けて遺産分割調停を申し立てました。

調停において、Aは初めて「亡父の介護をしたのは自分達夫婦なのだから、Bに法定相続分を分けるのは納得がいかない」と主張しました。しかし、介護の内容をよくよく聞いてみると、老人ホームの入居の際の手続きをしたくらいで、費用負担もなく、寄与分は到底認められない貢献度でした。

調停委員の説得もあり、最終的にはAも法定相続分での分割に合意しました。

分割の方法については、Aが現に事業を営んでいる土地・建物を売却するのは困難であることから、不動産はAが単独で取得し、Bは法定相続分に相当する金銭を支払ってもらう代償分割の方法によることとなりました。

また、不動産の評価額について若干の争いがありましたが、双方査定を出した後、調停官(裁判官)が入って具体的な意見(「3,200万円程度と評価するのが相当」)を述べ、ABともにその金額を評価額とすることに合意しました。

次の内容で遺産分割調停が成立しました。

(1)Aが全ての遺産を取得する

(2)AからBに対し、法定相続分相当額として1,850万円を現金で支払う

当事者間の話し合いによって遺産分割協議がまとまるに越したことはないのですが、本件のように、相続人の一人が頑なな態度を崩さず、またその理由も明らかにしてくれないといった場合には、当事者間での話し合いは困難ですので、調停申立もやむを得ません。

森田 茂夫

最終更新:2/11(火) 12:00
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