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サッチーに携帯電話を5個も折られて……野村克也さんが阿川佐和子さんに語った夫婦の話

2/11(火) 20:00配信

文春オンライン

「僕はほんとに女性に縁がないんですよ」

阿川 ご本では、サッチーさんは急に亡くなられたとありましたが。

野村 ほんとにあっけない。具合が悪そうだなと思ってから5分くらいでした。最初は家のテーブルにおでこをつけて、じーっとしてたんです。僕は隣の部屋にいて、お手伝いさんが「ちょっと奥さんの様子がおかしいですよ」と教えてくれた。で、見に行って「大丈夫か?」と聞いたら「大丈夫よ」と返してくれたんです。

阿川 そのときはちゃんと返事をなさった。

野村 でも、それが最後の言葉になりました。これはちょっと普通じゃないと思って救急車を呼びましたが、担架に乗せたときはもう息がなかった。死因は虚血性心不全ということですが、それまでまったく健康状態に問題はなかった。まさに急死というほかありません。

阿川 お亡くなりになった瞬間、どう思われましたか?

野村 もうあっけにとられて言葉も出ませんでした。「俺一人で生きていかなきゃいかんのかな」と思ったら、急に寂しくなっちゃって……。僕は女性に縁がないんですかねえ?

阿川 どうされたんですか!? 縁は充分あったじゃないですか。

野村 先に死んじゃったらダメですよ。サッチーとは二度目の結婚なんですが、前の奥さんももう死んじゃって。おふくろももちろん亡くなってますし、ほんとに女性に縁がないですよ。

阿川 いや、誰だって死から逃れることはできないですよ……。

野村 死ぬゆうたって、タイミングがあるでしょう。みんな私より先に逝ってしまって、自分に疫病神でも憑いてるんじゃないかって疑いますよ。

阿川 そんなに自分を責めないでくださいませ……。

「もう女性は相手にしちゃいけないなあ」

野村 だから、もう女性は相手にしちゃいけないなあ、と。

阿川 これから相手にしようと思ってらしたんですか(笑)。

野村 そんなことをフッと考えますよ。いまは毎日テレビを観て時間を潰してますけど、男って弱いなあってつくづく思うんです。

阿川 奥様に先立たれると、ダンナさまはほんとにショボ~ンとされちゃうんですねえ。やっぱり女性のほうが強いんでしょうか。

野村 ああ。私の母親はダンナさんに早く死なれて。父は僕が3つのときに戦死したんです。

阿川 じゃあ、お父様の記憶は?

野村 まったくないです。3歳上の兄も、「なんとなく憶えている」くらいで。だから僕らが小さいときから、家は貧乏で、母親は苦労ばかりしていました。おふくろが息を引き取ったあと、「何しに生まれてきたんだよ」と声をかけてしまったくらい。不幸な女の代表みたいな一生だったんじゃないでしょうか。

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最終更新:2/13(木) 9:48
文春オンライン

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