ここから本文です

働くために日本に来たのに…:技能実習生の孤独

2/12(水) 17:22配信

nippon.com

母国を離れ日本にやってくる技能実習生たちは、職場で長時間労働、低賃金をはじめとするさまざまな問題に直面しても、相談できる家族や仲間がそばにいない。彼らが助けを求めるのが、中国人の甄凱(けんかい)さんだ。中華料理店の店主だったが、今は「岐阜一般労働組合」で実習生の生活のあらゆる相談を受けている。甄凱さんが見た技能実習生の孤独とは。

中華料理店店主から労働組合に

甄凱さんは1986年、留学生として27歳で日本にやってきた。日本語学校に2年、その後は東洋大学法学部で学び、日本でアパレル会社に就職した。中国人実習生を縫製の子会社で受け入れていたこの会社で、実習生の生活指導と通訳を担当。仕事を通して、当時の日本の実習生受け入れ制度を知ることになった。6年後、仕事で知り合った中国人経営者に引き抜かれ、通訳として新規事業に日本の銀行から融資を受ける際などの窓口業務を担当した。しかし中国人社員の不満や意見を聞き、それを社長に伝えたところクビになってしまった。

40歳からの再就職は難しかった。そこで、住んでいた埼玉県幸手市に作られた国際交流協会で地域と外国の人々との交流を深める仕事に取り組んだ。その理事を経て、市内に中華料理の店を開いた。「ニイハオ」という中国語の看板を出していたら、それを見て中国人実習生たちがお店に来るようになった。

彼らは「残業代が払われない」「労災が出ない」「長時間労働」などの問題を抱えていた。彼らに代わって埼玉県の国際交流課に相談したところ、外国人も含め誰でも加入できる個人加盟の「全統一労働組合」を紹介された。2004年のことだった。そこから全統一労働組合で通訳として関東の実習生の相談を受け始めた。「甄凱さんに問題を解決してもらった」という話が実習生のネットワークで岐阜に伝わり、通訳がいないという岐阜一般労働組合の要請を受け、岐阜市に赴き今に至る。

甄凱さんが岐阜に住むようになった9年前、自分の家の空いている部屋に、会社とのトラブルを抱え住むところのなくなった実習生を3人保護した。その後も徐々に保護する実習生が増え、知り合いが持っている3階建の物件を安く借り、4年前に現在のシェルターをスタートした。入居者は4年間で延べ265名。国籍は中国、ベトナム、カンボジア、ミャンマー、フィリピンなどさまざまだ。シェルターに2年以上住んでいる人もいる。仕事中にケガをしてしまったが労災がおりないためだ。甄凱さんはこう説明する。

「こうした場合、まずはケガの治療をして、『これ以上治療をしても症状の改善はない』という症状固定となったら、労働基準監督署から一時金が支払われます。しかし、会社が自分たちには責任がないと主張して労災を認めないため裁判が始まるケースもあります。治療期間や裁判によってシェルター滞在が長引いてしまいます」

1/3ページ

最終更新:2/12(水) 17:22
nippon.com

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事

Yahoo! JAPAN 特設ページ