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「脱プラは温暖化対策そのもの。災害を増やしているのは私たちの暮らし方」NEPプロデューサー堅達京子が語る

2/12(水) 7:00配信

Book Bang

 いま「脱プラスチック」というキーワードが注目を集めています。ストローが紙に変わったり、レジ袋が有料化するなど、暮らしの中で使い捨てプラスチックをできるだけ減らす動きです。NHK BS1スペシャルで放送された番組『“脱プラスチック”への挑戦』も大きな反響を呼びました。この番組をプロデュースした堅達京子さんが、番組では伝えきれなかった話や、番組放送後の世界の動き、そして温暖化との密接な関係までをわかりやすく書き下ろした新刊『脱プラスチックへの挑戦』が山と溪谷社から発売されました。環境がテーマの番組づくりに積極的に取り組み続けてきたプロデューサーが、どのような思いでこの本を書いたのかをお聞きしました。(インタビュアー=岡山泰史)

脱プラは温暖化対策そのもの

――プラスチック問題に注目したきっかけを教えてください。

 プラ問題については、2016年に行なわれたダボス会議で、2050年までに、海のプラごみの量が魚の量を上回るという衝撃的な予測が出たり、カメの鼻の穴にプラスチックのストローが刺さる映像が話題になるなど、社会的に注目が高まっていたのですが、「脱プラ」は単に海の生き物がかわいそうという話ではありません。実は欧米では、プラ問題は気候変動や温暖化対策の主要なテーマだという認識があるのです。
 持続可能な地球をつくっていくうえでは、2つの話はつながっているし、大事な問題なんだということを、ぜひ知ってもらいたいと思って番組を企画しました。

――帯に「あなたは毎週5グラムのプラスチックを食べている」という非常に強いメッセージがありますが、そこにはどんな危険性があるのですか? 

 海のプラごみは紫外線や波で劣化して、5ミリ以下のマイクロプラスチックになり、魚や海塩、あるいは雨や大気を通して私たちの体内に取り込まれているというWWF(世界自然保護基金)の報告書があります。研究によると、塩やペットボトルの水の9割にマイクロプラスチックが含まれていただけでなく、日本人を含む人間の大便からも検出されています。
 「予防原則」という言葉があります。プラスチックを、魚やウミガメやサンゴだけでなく、人間も食べていることについては、まだまだ解明されていないことが多く、研究も途上です。
 でも、わからないから、このままでいいわけじゃない。わからないものに対しては、最大限にアンテナを張って、あとで後悔しないような対策を今のうちから取っておくことがとても大事です。
 今はまだ人間への影響は報告されていませんが、このままプラスチックの量が増えていくと、いつどのようにその影響が表れるかわからない。そして、わかってからでは遅いのです。

――マイクロプラスチックが生態系の中で濃縮しているという話が衝撃的でした。

 プランクトンがマイクロプラスチックを取り込み、それを小魚が食べ、さらに大きな魚や鳥が食べるという食物連鎖の仕組みがここでも働いています。今わかっているだけでも、マイクロプラスチックを経由してPCBなどの有害物質が、二枚貝の生殖腺に移行したという報告があります。また海鳥でもマイクロプラスチック由来の化学物質が内臓に蓄積しています(いずれも実験室下の報告)。つまりマイクロプラスチックが海の汚染物質の「運び屋」になっている可能性があるのです。
 実は過去の工場廃液などの有害物質は、今も海中に溜まっています。それをマイクロプラスチックが吸着し、魚や鳥だけでなく人間にまで運んでいるとしたら…。マイクロプラスチックそのものは排出されるけれど、有害物質は体内にとどまる可能性があります。その影響はいつ現れてもおかしくないという予防原則のもとで、今後の対策を進めていく必要があります。

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最終更新:2/12(水) 7:00
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