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巨人の新外国人「パーラ外野手」、確実性の高い打撃に注目【柴田勲のセブンアイズ】

2/12(水) 11:02配信

デイリー新潮

 巨人の新外国人選手、ヘラルド・パーラ外野手(32)の評判がいい。

 昨年、ナショナルズのワールド・シリーズ制覇に貢献しており、メジャー通算1312安打、88本塁打を放っている。

 長打力はそれほどでもなさそうだが、確実性は高そうだ。決して大振りをせずに、コンパクトに中堅中心に打ち返す。

 外野守備にも実績がある。ゴールドグラブ賞を2度受賞。原辰徳監督はいまのところ、右翼での起用を考えており、4番・岡本和真を支える5番が有力視されている。

 でも、外国人選手だけは本番を迎えてみないと分からない。いいと思ってもダメなケースがあるし、当然ながらその逆もある。

 巨人には大勢の外国人選手が在籍したが、真っ先に思い出すのがデイブ・ジョンソン内野手だ。長嶋茂雄監督1年目の1975年に来日した。前監督の川上哲治さんは外国人選手を一切使わず、“純血路線”を貫いていた。

 でも、長嶋さんは王(貞治)さんの打撃を最大限に引き出すには、自分の抜けた穴を埋める強打者が必要だと判断していた。

 で、やって来たのがジョンソンだ。アトランタ・ブレーブスの4番を打ったバリバリの大リーガーだ。当時32歳だった。

 現役のメジャーだ。われわれも大いに期待した。だけど、元々は二塁で慣れない三塁の守備もあってか、売りの打撃が低迷した。

 日本人投手の変化球攻めに苦しんだことが大きい。ちょっと神経質なところもあった。後半戦では8打席連続三振という不名誉な記録を作った。

 スポーツ新聞は「大型扇風機」、とか「ジョン損」なんて見出しを立てた。それだけ注目されたし、期待が大きかったんだ。

 75年のジョンソンは打率・197、13本塁打、38打点で終わった。巨人も球団史上初の最下位に沈んだ。

 いくら実績があっても、外国人選手は実際にやってみないと分からない。つくづく感じたものだ。それでも2年目の76年はケガと戦いながらも打率・275、26本塁打、74打点で長嶋さんの初Vに貢献した。

 日本の野球に慣れたことがあるが、日本の生活や風習に溶け込んだこともよかったのではないか。真っ先に思い出すのがジョンソンなら、歴代NO・1はウォーレン・クロマティ外野手(現在66歳)だろう。84年に来日していきなり、35本塁打、93打点と結果を残した。7年間在籍し89年には球団史上最高記録である打率・378で首位打者に輝いた。

 7年間で通算の打率・321、171本塁打、打点558。80年代の巨人はクロマティを抜きにしては語れないと思う。30歳で来日したが、メジャー関係者から「日本に来るような選手ではない」と耳打ちされた記憶がある。モントリオール・エクスポズでレギュラーを張っていた。

 当時、私は守備・走塁コーチだった。外野守備も上手で、なによりも勝負強かった。いい場面で打ってくれたという印象が強い。

 だけど、少し気むずかしく、気分屋の面もあった。あれは85年のことだったか。王監督がふがいない試合が続いたこともあって、ナイター明けに選手全員を午前中、多摩川に集合させた。全体練習をするためだ。

 ところが、クロマティが練習中、報道陣に「ハイスクールベースボール!」と不機嫌そうに話してしまった。高校野球のような練習をさせられる。こんな不満をぶちまけてしまったんだ。首脳陣批判とも取れる。メジャーだった彼は言わずにいられなかったんだろう。球団からは厳重注意かなにかで済んで、大事には至らなかったが。

 さて、パーラである。私は打率3割、25本塁打は打つのではないかと見ている。日本の投手の変化球にどれだけ対応できるかがカギだろう。

 やってみないと分からないのは事実だが、当たってほしいと願っている。

 クロマティは昨年、「球団ゲスト」として招かれ、打撃指導を行った。いまでも巨人と深く関わっている。これも球団が歴代外国人NO・1と認めているからだろう。

柴田勲(しばた・いさお)
1944年2月8日生まれ。神奈川県・横浜市出身。法政二高時代はエースで5番。60年夏、61年センバツで甲子園連覇を達成し、62年に巨人に投手で入団。外野手転向後は甘いマスクと赤い手袋をトレードマークに俊足堅守の日本人初スイッチヒッターとして巨人のV9を支えた。主に1番を任され、盗塁王6回、通算579盗塁はNPB歴代3位でセ・リーグ記録。80年の巨人在籍中に2000本安打を達成した。入団当初の背番号は「12」だったが、70年から「7」に変更、王貞治の「1」、長嶋茂雄の「3」とともに野球ファン憧れの番号となった。現在、日本プロ野球名球会副理事長を務める。

週刊新潮WEB取材班編集

2020年2月12日 掲載

新潮社

最終更新:2/12(水) 11:02
デイリー新潮

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