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放置され廃墟になった「温水プール」がサステイナブルなコワーキングスペースとして大復活したワケ【オランダ発スロージャーナリズム】

2/13(木) 7:02配信

FINDERS

今年は世界的に暖冬とはいえ、一年の内でも一番寒いこの時期、唐突ですが今回はオランダにある室内温水プールのお話をしたいと思います。なんで温水プールの話か?と言いますと、アムステルダムに次ぐ人口規模を誇る第2の都市・ロッテルダムにあるこの施設は、今や世界で最もサステイナブルなコワーキングスペースになっているからです。

ロッテルダムといえば、元サッカー日本代表の小野伸二選手が活躍したオランダ1部リーグの名門チーム、フェイエノールトとの本拠地として、その名前を聞いたことがある人も多いかもしれません。今や、中国やシンガポール、そしてドバイなどに貿易量としては抜かれてはいるものの、今だにヨーロッパナンバーワンを誇る港として君臨しています。

街自体は第2次世界大戦でのドイツ軍による空爆で壊滅的な被害を受けたため、戦後に復興された建物が多く、日本人がイメージするいわゆるヨーロッパ的な伝統的な建物は少なく、逆に超モダンな、あるいはオランダの誇る建築家たちが設計した、いい意味で奇抜な建物が多い。アムステルダムとも印象の違う、かなりユニークで存在感のある都市です。

さてさて、そんな街に、いやそんな街だからこそ存在するコワーキングスペースが、今回ご紹介する「ブルーシティ」。ここはかつて、いやわりと最近まで街の人たちに親しまれていた「Tropicana」という名前の温水プールだったのです。では一体、なぜこの温水プールがサステイナブルなコワーキングスペースになったのか。そして、どんな人たちがそこにいるのか?今回はブルーシティへの突撃レポートをお送りします。

舞台は営業停止になった温水プール

さて、この元温水プールを利用したコワーキングスペース。実は、正式にコワーキングスペースとして市からの許可が出たのはごくごく最近とのこと。なので、今までは必要最低限のリノベーションだけをして、暫定的に利用していたのが実態です。

今でも普通に温水プールの残骸が残っています。かつては子どもたちの声が響き渡っていただろう、この残骸。いわゆる廃墟に感じる一種のノスタルジーも感じてしまいますが、これをそのままの状態で残しているあたり、なんともオランダらしくサステイナブルといえばサステイナブル?ですが、こうせざるを得なかったある事情があったようです。

この温水プール、実は高層ビルへの建て替え計画があったのですが、周りの市民が大反対。結局、その計画は白紙になってしまいました。この点、日本では住民の反対がいくらあろうが、計画が強行されることが多い印象もありますが、オランダやドイツなどのヨーロッパでは結構、こうした住民の反対によって開発計画が頓挫してしまうことがあるようです。

さて、その高層ビルへの開発計画を拒否されたオーナー。その後、市からの再三の警告にも関わらず、この温水プールのメンテナンスを怠ったということで営業停止となり、2010年にクローズしてしまいました。

おそらく、自分の開発計画を拒否されてしまったオーナーは、もはやこの市民の憩いの場であった温水プールを維持していくモチベーションがなくなってしまったのではないでしょうか。あるいは、営業的にも採算が取れなかったのかもしれません。タイミング的に、あのリーマン・ショック後ということもあったのかもしれません。いずれにせよ、オーナーはこのプールへのメンテナスなどを含む投資は一切行わなかったようです。その後も建て直されることはなく、そのまま宙ぶらりん状態で残ってしまっていました。

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最終更新:2/13(木) 7:02
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