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理想は実現すると叫び続けるのが私の仕事だ──連載 欲望の断片(かけら)

2/13(木) 8:11配信

GQ JAPAN

“もし私たちが救いがたい理想主義者だといわれるならば、何千回でも答えよう。「その通りだ」と“というチェ・ゲバラの言葉を引用する演出家のテキストに、写真家がヴィジュアルで応える、大人のためのWエッセイ。

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本誌でも秀逸なコラムを寄稿されている小田嶋隆さんがツイッターに、“「体制」に「抵抗」するより「良識」を「嘲笑」しておいたほうが、ずっと安全だしおしゃれだからおすすめだよ、というのが、つまりはまあ、21世紀のカウンターカルチャーだったということかな。“という一文を投稿されていた。私は氏の意見に深く同意する。

昔、「体制」に「抵抗」しながら、「良識」や「理想を語ること」に対して冷笑的な態度をとることは、少し世を拗ねた不良少年がイキがってみせるポーズだったが、今は「体制」に「抵抗」することを諦めて「良識」を「嘲笑」するのが多数派になってしまった。

いつから私たちは理想を語ることを恐れるようになったのだろうか? 恐れるばかりでなく理想を語る者をバッシングするようになった。曰く、「現実を認識していない」「脳内お花畑」etc……。

しかし、理想を失った現実主義などに何の価値があろうか? 今、国の舵取りをしている政治家たちは理想を語るフリすらしなくなった。現実という船が進むべき方向すら見えない。台風19号が甚大な被害をもたらした時、与党の重鎮が「まずまずに収まった」と発言し、謝罪、撤回に追い込まれた件などはそれを象徴している。ご本人の中ではリアリストでタフな政治家であるという自負がおありなのかもしれないが、そもそも「まずまず」という言葉は、最高の結果ではないものの、「まぁ、良かった」という場合に使う表現で、多数の死者が出た場合に使うものではない。

かつてダッカ日航機ハイジャック事件の時、福田赳夫首相(当時)は「人ひとりの命は地球より重い」と発言し、超法規的措置を取った。弱腰であるという批判も多かったし、私自身、随分と甘ったるいことを言うなぁとも感じたが、今となっては保守党の総理大臣からそういう言葉を聞けたことが懐かしい。福田首相が本心でどう思っていたか知る由もないが、第2次世界大戦後の日本という国が徹底した人道主義を旨とするというアピールを世界に発信したのは総理大臣の“現実的選択“として正しかったと今は思う。

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最終更新:2/13(木) 8:11
GQ JAPAN

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