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セブン本部の契約解除にオーナーは徹底抗戦

2/13(木) 11:51配信

週刊金曜日

 コンビニ業界が従来の店舗数拡大路線を見直す動きの中、セブン―イレブン東大阪南上小阪店のオーナー・松本実敏さん(58歳)が独自の闘いをしている。松本さんは昨年12月31日付でセブン―イレブン・ジャパン本部(東京)からフランチャイズ契約の解除を通知された。理由の趣旨は「顧客からの苦情が異常に多い」だった。

 客のマナーの悪さに悩んだ松本さんは(1)駐車場の有料化(2)トイレを貸さない(3)ゴミ箱を外に置かない、などの処置を取っていた。怒りのあまり怒鳴ったりすることもあり、客から本部に抗議されたりネットなどで批判もされていた。

 12月20日に本部側と協議した松本さんは「怒ったことにはすべて理由があるが、私は口が悪いので反省すべき点は反省することなどを伝えていた。それが10日間で解除通知されてしまった」と憤る。

 解除で仕入れがストップし商品がなくなり、1月8日に店を閉め現在「休業状態」。前日に松本さんを店に訪ねたが、棚には残り少ない「投げ売り価格」の品があるだけだった。収入が途絶え「廃棄食品も底をつき自炊しています」。

 松本さんは昨年2月、それまでの24時間営業をやめ深夜1時から朝の6時までは閉店に踏み切った。「手伝ってくれていた妻ががんで亡くなり回らなくなった。人手不足でバイト代も高騰している。結局、深夜や未明に開けていてもその時間帯は赤字なんです」。しかし時短について本部側は「契約違反だ」と1700万円以上の「違約金」を求めてきたという。

 長年営んだ工務店を畳んだ松本さんは2012年2月に開店した。店のオーナーとして働くための本部とのフランチャイズ契約は、松本さんの場合、土地などは本部が借りるCタイプ。しかし「自己資金250万円で開業できるということでしたが、事務用品や開店時の商品などで1000万円ほど払わされた」と振り返る。

 松本さんは「セブンの本部は缶コーヒー一つでも売れれば自動的にチャージが入る仕組み。光熱費や人件費など店のコストのことなど彼らに関係ない。だからいくらでも商品を発注させる」と説明。ツイッターでもこうした「本部による搾取」や「セブンペイ問題でも社長が謝罪もしない」などについて、厳しく会社を批判してきた。

【近日中に本部に対し本訴も】

 松本さんは「コンビニ加盟店ユニオン」で共闘しているが「私の契約解除を知り、時短や元旦休業を計画した他店のオーナーも尻込みしてしまったようです」と話す。

「私が不在の間に本部関係者がやってきて更地にしてしまうかもしれないので、おちおち店を留守にできません」と話していた松本さんは1月6日、契約解除の無効、オーナーとしての地位確認、取引拒絶の差し止めを求める仮処分を大阪地裁に申し立てた。一方、セブン本部は店舗の明け渡しなどを求める仮処分申請をした。

 1月27日午後、大阪地裁で裁判官を交えて松本さんとセブン本部側との初の「双方審尋」があった。代理人の壇俊光弁護士の説明によると、セブン本部側は、裁判長に争点を絞ることを求められて店舗の明け渡しだけに限定した。

 壇さんは「地位確認の仮処分申請は労働者が雇用主を相手取るのが大半で、こうした例は珍しい。しかしフランチャイズの本部はオーナーに対して雇用主と変わらず強い立場にある。時短運動の中心的存在だった松本さんを排除するためにクレームが多いことを口実にしただけ。クレームといっても、ネットなどに書かれたことが事実かどうかもわからない」とする。

 今後の審尋では、背景にある時短問題などは本格的には取り上げられない見通しだが、松本さんはこれと並行して、近日中にセブン―イレブン本部を相手取り地位確認請求などの本訴を行なう予定だ。

「無駄な24時間営業で親の葬式にもまともに出られないオーナーもいるんです」と松本さん。一方、セブン本部広報は取材に対し「現在、裁判所の判断を仰いでいる立場で、当方から本件に関する主張や見解を述べることはございません」と回答した。

(粟野仁雄・ジャーナリスト、2020年1月31日号)

最終更新:2/13(木) 11:52
週刊金曜日

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