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新型コロナ拡大が“嫌中・反中”を増長 東南アジア5カ国それぞれの事情

2/13(木) 6:02配信

デイリー新潮

 新型コロナウイルスをめぐり、日本でも「中国人お断り」の張り紙を掲げた飲食店が問題視された。が、世界各地で「アンチ・チャイナ」の動きは確実に広まりつつあり、良くも悪くも中国との“関係”が深い東南アジアの国々は、特に激しいようだ。東南アジア情勢に詳しいジャーナリスト・末永恵氏がレポートする。

【写真】コロナウイルスを警戒するマレーシアのクアラルンプール国際空港の様子

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 中国の新型コロナウイルスの世界的拡大によって、欧米諸国などで「反中・嫌中」の動きが拡散している。こうした反応は東南アジア諸国でも見られ、かねてより南シナ海をめぐる領有権争いや「一帯一路」による経済的覇権、ソフトパワーを使った共産党思想の伝播といった事象への反発があっただけに、“NO China, NO Chinese!”(中国や中国人は出ていけ! )の声は、むしろ欧米よりも大きいといえるかもしれない。

 2月12日現在で、東南アジア諸国の感染者は、シンガポール47人、タイ33人、マレーシア18人、ベトナム15人、フィリピン3人(うち1人死亡)、カンボジア1人、インドネシア0人となっている。このうち5カ国の新型コロナ問題への反応と、その背景にある対中関係の近況を見ていこう。

 まずはマレーシアとインドネシアである。前者は過半数をイスラム教徒が占め、後者は世界最大のイスラム国家。そんな2国をはじめとする東南アジアのムスリムたちから聞こえてくるのは、「コロナウイルスはアラーが下した中国への処罰、報復だ!」との声だ。

 背景には、中国政府による新疆ウイグル自治区、ならびに世界に散らばるウイグル人イスラム教徒への迫害問題がある。

 この問題をめぐっては、つい昨年末にも、英国サッカーのプレミアリーグ・アーセナル所属のスター選手で、イスラム世界の英雄・トルコ系ドイツ人教徒のメスト・エジル選手が、「コーランは焼かれ、モスクは閉鎖され、イスラム神学校は禁止され、イスラム学者が次々に殺されている」「なのにどうして、イスラム教徒は沈黙しているのか」と中国を痛烈に批判し、世界のムスリムの兄弟達に中国を非難するよう訴えた。さらに、日本でも人気のラグビー・ニュージーランド代表、ソニー・ビル・ウィリアムズ選手も、「人間性でなく経済利益を優先させた」とチャイナマネーを振りかざし、イスラム教徒の人権侵害を繰り返す中国を批判してもいる。

 エジル選手に対して中国政府は、「事実でないメディアの報道を信じているだけ」と一蹴。のみならず、中国中央テレビ(CCTV)はプレミアリーグのアーセナル対マンチェスター・シティー戦の放送を中止し、別の試合に差替えるという“報復”に出た。

 それだけに、新型ウイルスが出現したことは、中国に対する「報復の報復」だと見られているわけだ。

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最終更新:2/13(木) 6:02
デイリー新潮

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