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プラットフォーマーを優越的地位の濫用で攻める公取委

2/14(金) 9:15配信

NRI研究員の時事解説

楽天が送料無料制度を導入する方針

通販サイト「楽天市場」に送料無料制度を導入する方針を巡り、楽天と競争政策を担う公正取引委員会(公取委)との間で睨み合い状態が続いている。

楽天は、出店者によって商品の送料に関する規定がばらばらで分かりにくいことが、消費者に混乱を生じさせているとして、今年3月18日から1つの店舗で3,980円以上購入した場合、その送料を出店者の負担で一律無料にする、と発表した。

こうした楽天の方針の背景にあるのは、アマゾンとの間での熾烈な競争だ。アマゾンでは、多くの場合2千円以上の購入で送料が無料となる。大半の商品が直販であるアマゾンとは異なり、楽天市場は全国各地の事業者がサイトで出店販売する形態を取っている。そのため、送料も各出店者自身が各々設定しており、送料を別にとる店と送料無料の店とが併存している。いわば統一されていない。楽天は、送料を一律無料にすることで消費者をつなぎ止め、アマゾンに対する劣勢を挽回したいと考えている。

しかし、一部の出店者らでつくる任意団体「楽天ユニオン」は今年1月に、楽天が出店者らに送料無料を強制することは独禁法違反に当たるなどとして、公取委に調査を求める署名約4千件を提出したのである。

そして公取委は、2月10日に独禁法違反(優越的地位の濫用)の疑いで楽天に立入検査に入った。優越的地位の濫用とは、「自己の取引上の地位が相手方に優越している一方の当事者が、取引の相手方に対し、その地位を利用して、正常な商慣習に照らし不当に不利益を与える行為のこと。独占禁止法により、不公正な取引方法の一類型として禁止される」と説明されている。

強硬姿勢を崩さない楽天

その後、報道により明らかになったところでは、昨年9月に、送料一律無料制度の導入について楽天は公取委に事前に相談しており、公取委から同法に違反する恐れがある、との回答を既に受けていた。楽天はこうした公取委の見解を認識したうえで、なお送料一律無料制度の導入を3月18日に実施する姿勢を崩さなかったのである。ちなみに楽天は、出店者にとって印象が悪い「送料無料」を「送料込み」へと表現を改めたが、実質的には変わらない。

こうした楽天のいわば闘争姿勢を受けて、公取委は3月18日までに調査を終えて、独禁法違反か否かの判断を下せるよう、証拠入手のために楽天に立入検査に入ったと見られる。

また、強い姿勢を見せることで、楽天が自ら送料一律無料制度の導入を撤回することを期待したのかもしれない。公取委は違反と判断した場合には、排除措置命令などの行政処分を行う可能性が高い。

しかし現時点では、楽天側は態度を変えていない。楽天は2019年に、オンライン旅行会社の「楽天トラベル」が観光ホテルなどに不当に最安値保証を求めていたとして、公取委から立ち入り検査を受けたことがある。ただしこの際には、楽天側は自主的な改善策を申し出て、独占禁止法違反の認定や排除措置命令を免れていた。今回は、これとは異なる強硬姿勢を楽天は維持している。

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最終更新:2/14(金) 9:15
NRI研究員の時事解説

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