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愛を詰めたお弁当のような、齊藤工監督作が放送に!

2/14(金) 22:14配信

フィガロジャポン

フィガロジャポンでは写真家として「齊藤工 活動寫眞館」を連載中の俳優・映画監督、齊藤工。その監督11作目となる『フードロア:Life in a Box』が2月15日、スターチャンネルにて日本独占放送される。

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『フードロア』は、ケーブルテレビ局HBOアジアでシンガポールの映画監督エリック・クーが製作総指揮を務めるドラマシリーズ。アジア8カ国の映画監督が、「食」をテーマに作品を製作。齊藤は前回のホラーシリーズ『フォークロア:TATAMI』に続き、日本代表監督として招かれた。放送を前に齊藤と、メインキャストのひとりである安藤裕子に話を聞いた。

日本ならではの「食」を表現するのに齊藤が選んだテーマは「弁当」。「TATAMI」と同様、ピタリと当てはまる翻訳のない、日本語がそのまま世界で使われている言葉であることが理由のひとつだった。そしてオファーを受けた当時、齊藤が広島でボランティアをした際に、幼稚園の食堂で用意された塩むすびに感銘を受けたことに端を発している。作ってくれた人たちの温かさを感じるとともに、労働した後の身体に合わせた塩加減にもメッセージを感じたという。さらにロケ地である高崎で、物語の主題に関わる大切な出会いがあった。

「高崎市に奈美さんという、40年くらいひとりでお弁当を作っている方がいて、そのお弁当がめちゃくちゃおいしかったんです。作り手の愛情が詰まっていて、その奈美さんを本作のモチーフにしています。実際に奈美さんのお店の壁に貼ってあったものをお借りして、劇中でも使っています」

演じるのが必然だったかのようなキャスティング。

キャスティングにおいても、今回は「神がかっていた」と齊藤が言うように、メインキャストたちは脚本に描かれた人物と実体験が重なる部分があったという。スランプに陥った絵本作家を演じる安藤裕子は、オファーを受けた当時をこう回想する。

「このお話をいただく前の日に偶然、齊藤さんにばったり道で会ったんです。お願いしたいことがあるんです、とおっしゃったので、私はミュージシャンだから曲の依頼かな?と。でも、明日オフィシャルにご連絡がいくと思います、と言って内容を教えてくれなくて(笑)」

何かに引き寄せられるようにオファーを受けた安藤は、台本を読んで2度目に驚くことになる。

「まるで自分に当て書きされたようでびっくりしました。私は音楽を作りながら、絵を描くことも仕事の一環でした。これまで常に何かを作りながら生きてきたし、それが楽しいからここまでやってきたはずなのに、ある日突然、曲が作れなくなってしまった。技を知っているから依頼されたものは作れるけれど、何ひとつ胸が騒がず、ワクワクしない。あ、終わったな、って思ったんです」

安藤は2年ほどの「休業」の中でこう感じていたという。「これが噂に聞く“枯渇”というやつか、と思いながら(笑)、ぼんやり休めども休めども、色褪せていくしかなくて」

安藤が演じる絵本作家は“本当に創りたいもの”と“世間が求めるもの”との間で葛藤し、スランプに陥っている。思いを込めた作品を担当編集者にやんわりと否定された時に飲み込んだ思い、机に向かって思い詰めたようにペンを走らせながら抱く焦燥感が、彼女の繊細な眼差しから伝わってきて胸が締め付けられる。

「ちょうどこのお話をいただいた頃、ようやく曲を作り始めたところだったんです。新しく出会った人に協力してもらって、作るってやっぱり楽しいな、って思えるようになっていった。だからこの役を演じられることは、非常にありがたいチャンスだと思いました。もう一度名前を呼んでいただくことで、『あ、私ここにいるんだ』と(笑)。人と交わることってすごく力になるし、楽しいものが生まれるって感じられました」

そんな安藤について、齊藤はこう語る。「安藤さんは役をご自身でアレンジされて、絵も安藤さんが描いてくれたものなんです。彼女のクリエイションの瞬間というものが、自然に訪れていて。僕らが作る映画もそうですけど、自分の作りたいものと、時代のニーズみたいなものとのギャップって、表現の仕事をする人はみんな感じていて、安藤さんもそういった部分で、この役と近いものを感じると言ってくださった。すべての作品にこういう奇跡が起こっているわけではないけれど、この方たちに演じていただくことが前々から決まっていたような、結果的にすごく必然が詰まった作品になりました」

「東洋の神秘」という異名を持ち、アメリカでも成功を収めたプロレスラー、ザ・グレート・カブキもメインキャストのひとり。台本を読み、腹が立つくらい核心を突いている、といった感想を齊藤に伝えたという。そしてもうひとり、妻を亡くし、娘を連れて実家へ向かう男を演じた安田顕には、実際に劇中で川床明日香が演じる少女と同年代の娘がいる。そして撮影の前年、せめてこれくらいは作れるようになってほしいと妻に言われ、物語の鍵を握るお弁当の中のある一品を、彼女に教わって作ったのだとか。

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最終更新:2/14(金) 22:14
フィガロジャポン

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