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『スカーレット』で水橋文美江が描く同業夫婦の苦悩 “朝ドラ新時代”を感じさせるヒロインの在り方

2/14(金) 6:04配信

リアルサウンド

 連続テレビ小説『スカーレット』2月11日放送分では、喜美子(戸田恵梨香)と元・夫の八郎(松下洸平)が久しぶりの再会を果たした。

【写真】穴窯で佇む八郎(松下洸平)

 お風呂を炊けるくらいのたくさんの手紙をもらっていたからとはいえ、何年も会っていなくとも再会すれば「おう」「おう」のやりとりだけですぐに元の関係に戻れる父子と違い、夫婦はやっぱり他人。

 終始敬語で話す2人のぎこちなさにも、留守番電話のくしゃみだけで喜美子とわかったのに、折り返さない八郎にも、「もう終わったこと」と自身に言い聞かせるようにきっぱり言い放ち、去る八郎を外まで見送りもせず立ち尽くす喜美子にも、寂しさやモヤモヤした思いを抱いた視聴者は多かったことだろう。

 養育費を送り続け、大学まで進学した武志。八郎にとっては、親の務めの終わりであり、喜美子との唯一のつながりが終わる、本当の意味でのお別れだったはずだ。

 八郎が去り、夕日が静かに差し込む誰もいない居間に1人佇む喜美子の悲しさに、どちらが悪いわけでもないのになぜ2人が別れなければいけなかったのかと改めて考えてしまう。しかし、そうした因果こそが『スカーレット』が描こうとした大きなテーマの一つ、「同業夫婦の心強さと困難さ」なのだろう。

脚本家・水橋文美江が描いたもう一つの同業夫婦

 ここで思い出されるのは、『スカーレット』の脚本家・水橋文美江が同じNHKで手掛けたドラマ『みかづき』だ。
 小学校の用務員でありながら、落ちこぼれの子どもたちに勉強を教える大島吾郎(高橋一生)と、自由で豊かな教育の可能性を塾に見出したシングルマザーの赤坂千明(永作博美)がタッグを組み、夫婦で塾を作っていく。しかし、塾経営を拡大し、時代の流れにのって「進学塾」化させていく千明と、学補習塾であり続けようとする吾郎の間で意見が衝
突。

 吾郎は「学校が太陽なら、塾は月のよう。うまく学校で日が当たらない子たちに月の光を照らすような塾を作ろう、君はそういったじゃないか」と教育者としての理想を語り、それに対して千明は経営者として反論。どちらの言い分も間違っていないが、吾郎は去る。そして、塾は発展を続けるが、娘たちの反抗や、塾講師たちのボイコットなど様々な問題が起こり、精神的に追い込まれたところに吾郎が戻り、再び家庭と塾とがまわり始める様子が描かれていた。二人の意見の衝突と、悲しい別れは『スカーレット』にも引き継がれているが、しかし結末は大きく異なる。

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最終更新:2/14(金) 6:04
リアルサウンド

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