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ベトナムは米国寄り、中国寄り?日本人の「大きな誤解」の真相

2/14(金) 13:00配信

幻冬舎ゴールドオンライン

ベトナムは、社会主義国でありながら、驚異の経済成長を遂げてきた。訪越外国人数、貿易収支等、多くのマクロ指標は右肩上がりであり、今後のさらなる発展に期待が高まる。そこで本連載では、キャピタルアセット マネジメント株式会社・代表取締役社長の杉本年史氏が、ベトナムの最新事情を紹介していく。

ベトナムは「米国寄り」「中国寄り」どちらなのか

◆ベトナムと中国・米国

現在のベトナムは、対米貿易黒字が増えている。米中貿易摩擦の影響で、中国を生産拠点としていたグローバル企業のサプライチェーンの再編が加速化し、ベトナムへの生産拠点のシフトが活発化しているためである。

スマートフォンや衣料品を中心としたベトナムの対米輸出が前年比+28%伸長し、総輸出も8.1%伸びた。堅調な雇用状況から内需も好調であり、個人消費などの最終消費支出は前年比+7.2%であった。このような要因から、ベトナムは「米中貿易摩擦の恩恵を最も受けている国」といわれている。

他方、同じ社会主義国として重要な中国は、米国、欧州に次ぐ輸出相手国である。輸入を合わせた貿易総額では最大(全体の22.6%、1,169億ドル/2019年)であり、もちろん無視できない存在である。

米中が鋭く対立する局面で、はたしてベトナムは、米国寄りなのか? 中国寄りなのか?

結論からいうと、ベトナムやベトナム人は、間違いなく米国を向いている。ホーチミン市民に、「外国ではどこの国が最も好きか?」「興味があるか?」と聞けば、ほぼ間違いなく「米国」と返ってくる(日本は「アジアでは」一番ということになっている)。

悲惨なベトナム戦争のことが印象に残っている人や、ハリウッド映画を見て、米国兵にベトナム人がいいようにやられてしまっている…というようなイメージを持っている人は、「米国のことをさぞかし憎んでいるだろう」あるいは「表面的にはいい顔をしているが、腹の底では嫌っているのではないか」と思うかもしれないが、実はそうではないようだ。

ベトナム人は極めて柔軟で現実的な思考をする人たちであり、「自分たちの生活を向上させる経済的発展のためにどうすればよいか」という視点から、過去のしがらみに捉えられることなく合理的選択のできる人々なのである(この点は、先の大戦で米国に敗れた日本人についても同様のことがいえなくもない)。

◆米国志向の強いベトナム

ベトナムの英語教育は幼稚園から始まり、日本語やほかの外国語教育が小学校3年以降から始まるのに比べて極めて早い。ベトナム人の英語能力ランキング(EF:Education First)は世界100ヵ国中52位で、日本(53位)より高い。留学先でも日本、韓国についで米国への留学生が多いと推測される(JVRC調べ)。留学後米国で働く人も多く、帰国しても就職先として米系企業の人気は高い。

ベトナムは、経済面では官民挙げて米国との結びつき強化を志向している。対米貿易黒字の増加によって、米財務省から為替操作国と認定される可能性(現在は為替監視国とされている)や、一部鉄鋼製品で見られるような制裁的な関税によって揺さぶられる可能性も否定できないが、それでも米国志向は萎えることはないと考えられる。

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最終更新:2/27(木) 17:48
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