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24歳独身、離乳食ビジネスの理由 「分断」の米で決意

2/15(土) 7:47配信

NIKKEI STYLE

「イクメン」でも既婚でもない24歳が、子育て世帯を支える離乳食ビジネスに取り組んでいる。2018年設立のKazamidori(東京・渋谷)で社長を務める久保直生さん。「ミッションは空から降ってこない。自分で決めるんです」。自らに言い聞かせるように語るのは、人生のテーマを求めて悩んだ過去があったから。小さな子どもが食べる離乳食の向こうに、とても大きなミッションを見据えている。
「最近はネットで『離乳食』って検索する人が多いんですよ」。そう話しながら久保さんがスマホに映し出した画像は、実にカラフルに盛り付けられ、一目で栄養バランスを考えたとわかる離乳食の数々。自分の子育て経験を振り返った筆者が「これを毎日つくるのはたいへん」と絶句すると、久保さんは「男女共同参画が叫ばれ、夫婦の共働きが当たり前になった今でも、離乳食の手作り信仰はまったく消えていないんです」とうなずいた。
子育ては苦労してこそ、だから離乳食は手作りで――。こうした価値観は長年、親とくに母親を苦しめてきた。「でも、親がつらくても頑張ることが子どもの幸せなのかな、と。親が少し楽になって楽しく余裕をもって過ごしたほうが、ぜったい子どもの成長や発育、心の豊かさにつながる。僕たちが展開する離乳食がその助けになったら」。久保さんの声に力がこもる。

■カリスマなき生徒会長

Kazamidoriが「土と根」のブランド名でネット販売している離乳食は、生後半年くらいからの赤ちゃんが食べるための野菜のペーストだ。
トマト、ニンジン、ホウレン草、カボチャの4種類あり、すべて有機栽培の野菜を使っている。1種類100~120グラムを複数の冷凍キューブに加工してパックしたものを、4種類セットで3980円で販売している。ネット広告などを通じて全国から注文が入り、現在は月間100セット程度が売れるようになっているという。
それにしても、なぜ久保さんが離乳食なのか。「離乳食にたどりつくまでに、僕も自分のやりたいことがわからなくて苦しみました」。その道のりは高校時代に生徒会長を務めたことまでさかのぼる。
久保さんは東京生まれの東京育ち。小学校から青山学院に通った。高校、大学もエスカレーターで進むことが可能だったが、親は「ほかを受験した方がいい」と勧めた。息子の進路をせばめたくない親心だったが、久保さんは「青学が大好きだった。だから、青学高等部をめっちゃいい高校にして、外部受験しろなんて言わせないようにする」と決意。高校3年で生徒会長に立候補し、選ばれた。
青学の高等部にはなかった運動会を生徒会主催で開催したところ、自主参加にもかかわらず7割の生徒が参加した。携帯電話の校内持ち込みルールも緩和。生徒会活動を1分間でPRする週1回の校内放送や、各クラスを回って要望を聞く昼食会にも取り組んだ。「それまでの僕はお調子者の元気なヤツという存在だったけれど、少し変わりました。カリスマ性で引っ張ることはできなくても、みんなの声を聞く『サーバントリーダー』になれるかもしれないと気づきました」

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最終更新:2/15(土) 19:15
NIKKEI STYLE

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