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天保3年創業の植藤造園十六代目佐野藤右衛門が語る「日本庭園のようなワインとは何か」

2/15(土) 15:01配信

サライ.jp

日本庭園のようなワインとは何か。その真意を究明すべく、シャトー・メルシャンのチーフ・ワインメーカー安蔵光弘氏と、ブランドコンサルタントでありマスター・オブ・ワインの大橋健一氏が、当代一の造園家を京都嵯峨野に訊ねた。天保3年創業の植藤造園十六代目佐野藤右衛門氏である。(前編は関連記事から)

日本の庭にはグラデーションがある

安蔵光弘(以下、安蔵) パリに滞在されていた時は、やはり庭を見て回られたんですか?

佐野藤右衛門(以下、佐野) あっちこっち見るには見たけど。みなさんご存じやと思うんですが、どう言うたらええのかな、民家の庭というのはまずないですわ。日本のような庭はね、ないんです。アパートメントちゅうのか、建物はコの字型で入り口があって中庭ですわな、ほとんどが。ちょこちょこっと木があって、ベンチを置いて、日なたでのんびりするちゅうような程度ですやろ。なんとか城とか、シャトーといわれると庭の規模はまあ大きいけど、だいたい幾何学的というか、変化のない庭ですな。いつ行っても同じ。落葉してるか緑かどっちかで、その中間がない。これはまあどっちが良い悪いやなくて、それも気候風土の違いということなんやとは思いますがね。

大橋健一(以下、大橋) 日本庭園はその中間というか、刻々と変化する四季の移ろいの美しさに特徴がある。日本の庭は動いているというのは、そういう意味ですね。

佐野 そういうことですわ。近頃の言葉ではグラデーションですか、なんやややこしい言い方しますけどな。片仮名語で言うとなんでも賢くなったような気でいる。我々の世界でもけっこうあるんです。若い者がね。グラデーションって何や、そんなもん昔から日本ではやっとるわいちゅうねん。なんでや言うたら、連れションも立ちションもずっとしてるわて(笑)。まあそれは冗談ですけど、日本の庭にはそのグラデーションがあると。日本語で言えば“ぼかし”です。日本のものには着物でも庭でもぼかしがある。そのぼかしが大事なんです。ロンドンからパリへ行くあの電車なんて言いましたかな。

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最終更新:2/15(土) 15:01
サライ.jp

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