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松浦弥太郎さんが贈るココロの処方箋「プライドが邪魔をするとき」

2/16(日) 20:13配信

25ansオンライン

落ち込んだとき、気持ちがはやるとき…いざというときのココロの処方箋を、毎月、松浦弥太郎さんに贈ってもらうこの連載。今回は、いつの間にか大きくなったプライドについてです。

「プライドが邪魔をするとき」 ーその鎧を脱いだ途端、人と仲よくなれるー

「責任感」というプライド以外は人間関係の損の種でしかありません

僕が『暮しの手帖』の編集長に決まったとき、ある編集の大先輩のもとを訪れました。何かアドバイスをください、とお願いしたところ、彼女は「私はできるだけプライドを捨てることを心がけているわ」と言ったんです。正直言って、ピンときませんでした。僕は当時、プライドというのはどちらかというと大事にしたほうがいいものだと思っていたのです。僕が理解できていない様子を見て、そのあと彼女は「結局、我慢よ」と続けました。この話はあとでしましょう。
プライドには2種類あると僕は理解しています。ひとつ目は責任感。今取り組んでいる物事に対する、まっとうしようというプライドですね。それはポジティブなプライドだと思います。やっかいなのはもうひとつの、自分自身に対するプライド。それは自分を大きく見せようとする気持ちや、自分は何かをできるということを誇示する、人を見下す、ついアドバイスしてしまう、間違いを認めない、融通が効かない、キレやすいなどといった形で表れてしまいます。そういうプライドにこだわっていると、人間関係において何かと損をして、かえって自分を不自由にすると思うのです。
特に自分自身がデリケートな性格だとか、何かの失敗がトラウマになっている人は、こういう、自分を守るための鎧のようなプライドが、ぶくぶくと湧き上がりやすいと思います。それは意識してコントロールしたほうが、生きるうえで楽になるのではないでしょうか。

プライドを「捨てる」のが難しければちょっと大人しくさせておきましょう

今このページを読んでいるあなたは、すでにプライドを少し厄介に感じているのかもしれません。プライドを守るために、事実より大きく言ってしまったり、そのために信頼を失ったのかもしれません。人はなぜプライドを高くしてしまうのでしょうか。それは相手に認めてもらおうとか、足元を見られないようにしよう、と自分を守る場合が多いのではないでしょうか。
でも、残念ながらほとんどの場合、それは裏目に出るのです。だって、背伸びをせずに自分らしく振る舞える人、常にリラックスして、無用な緊張のない人、知らないことやできないことを素直に言える人、経験や能力を誇示しない人のほうが、断然、人として魅力的だし、可愛げがあって、人が寄ってくると思いませんか?
また、冒頭でお話しした先輩の「我慢」という言葉を思い出してみてください。例えばあなたの意見を相手が否定したとき、じっと我慢して相手の言葉に耳を傾けていると、問題の糸口が別のところにあることや、自分の考えの一部が間違っていたことに気づけるかもしれません。プライドをおろすというのは、こんなふうに学びのチャンスも広げてくれるのです。
だから思い切って、鎧を脱いでみましょう。一度脱いでみると、生きることはこんなに自由で、人と人はこんなに仲よくなれるんだと気づくと思います。いきなりプライドを「捨てる」のが難しければ、一旦横に置いて、ちょっと大人しくさせる、と考えると楽ですよ。

松浦弥太郎さん
まつうら・やたろう●『暮しの手帖』編集長を9年間務めたのちウェブメディア「くらしのきほん」を立ち上げる。2017年、「おいしい健康」共同CEOに就任。「正直、親切、笑顔、今日もていねいに」を信条とし、暮らしや仕事における、楽しさや豊かさ、学びについての執筆やラジオ出演、講演会などを行う。セレクトブックストア「COW BOOKS」代表でもある。

YURICO YOSHINO

最終更新:2/16(日) 20:13
25ansオンライン

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