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名曲散歩/『シクラメンのかほり』布施明は歌いたくなかった

2/16(日) 16:32配信

SmartFLASH

 東京・神田の古いビルの2階。そこには夜な夜な紳士淑女が集まり、うんちくを披露しあう歌謡曲バーがあるという。今宵も有線から、あの名曲が流れてきた。

お客さん:お、このイントロ……「真綿色した」で始まる布施明の「シクラメンのかほり」。この豊かな声量! まさに歌い上げる! って感じだね。

マスター:1975年のレコード大賞に輝いた、日本を代表する名曲だね。でも、この歌、本人は歌いたくなかったんだって。

お客さん:どういうこと?

マスター:作詞作曲したのはフォークの小椋佳。1975年といえば、フォークブームが終わった頃だったから、「いまさらこれを歌うの?」って感じだったという。

 しかも、デビューから10年目のこの頃、布施明はコンプレックスを抱えていたんだ。ちゃんと音楽を勉強していないから、バックミュージシャンになめられるっていうね。

お客さん:へー、知らなかった。

マスター:だから、事務所には「しばらく勉強のために芸能活動を休ませてほしい」と訴えていたんだ。事務所側に「しょうがない、あと2曲歌ったら休ませてやる」と約束をとりつけた直後の曲が、この『シクラメンのかほり』だった。

 布施明本人は「こんな歌、売れるわけない」と思いながらレコーディングしたら、ご存知のとおり、音楽賞総なめのミリオンヒットとなった!

お客さん:人生ってわからないもんだね。

マスター:あまりに忙しくて、翌年の休みはぜんぶで7日しかなかったんだって。

 ちなみに布施明がデビューしたきっかけは『ホイホイ・ミュージック・スクール』(日本テレビ系)というオーディション番組に出たことなんだけど、そのときのバックバンドがあのドリフターズだったんだよ。

お客さん:いかりや長介がベースで、加トちゃんがドラムの! 深い話だねぇ(笑)。
 
 おっ、次の曲は……。


文/安野智彦
『グッド!モーニング』(テレビ朝日系)などを担当する放送作家。神田で「80年代酒場 部室」を開業中

参考:文化放送「くにまるジャパン極」(2020/1/29)

最終更新:2/16(日) 16:32
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