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王様の気遣い「パンの値段を半額に」が弱者を苦しめる理由

2/16(日) 10:00配信

幻冬舎ゴールドオンライン

これからの時代を経済的に困窮することなく生きるには、「経済センス」を磨くことが不可欠です。経済コラムで多くのファンを持つ久留米大学教授の塚崎公義先生が、身近なテーマを読み解きます。第6回は、弱者保護の政策によって、かえって弱者が苦しむことになりかねない理由を考察します。

弱者のための値下げが「弱者を狙い撃ち」に!?

筆者は、弱者を保護するのは基本的にはよいことだと思っていますので、本稿は「弱者を保護するな」という趣旨ではありません。「保護の仕方に気をつけないと、かえって弱者を苦しめかねないので、注意深く保護しましょう」という趣旨ですから、あしからず。

「神の見えざる手」という言葉があります。経済学者アダム・スミスが唱えたもので、「経済のことは神様がうまく調整して下さるから、王様は口出ししないで下さい」という理論です。

たとえば王様が「貧乏人にもパンが買えるように、パンの値段を半分に値下げさせよ」という命令を下したとします。パン屋たちの多くは「それならパンを作るのはやめよう」と考えるので、パン屋に並ぶパンが減ってしまいます。

人々が食べられるパンが減るので、パンを食べられない人が増えてしまいます。もうひとつ問題なのは、空腹な順にパンが食べられるわけではなく、運のよい人がパンにありつける、ということです。

命令が出る前は、「空腹だから、多少高くてもパンが食べたい」という人がパンにありつき、「それほど空腹ではないから、今の値段なら買わない」という人が諦めていたのに、後者もパンを買いに来るようになったからです。

パン屋たちは、パンの代わりにケーキを作るようになるので、金持ちは「パンがなければケーキを食べればよい」ということで、とくに困りません。貧しい人を助けようと思った命令が、貧しい人だけを困らせた、というわけですね。

「貧乏人向けのボロアパートの家賃を半分にせよ」という命令も、同様の結果をもたらします。大家たちがアパートを建てるのをやめて賃貸マンションを建てるようになるので、金持ちは賃貸マンションに住み、貧しい人は住む場所がなくなって困る、というわけですね。

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最終更新:2/16(日) 10:00
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