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年金受給見込み額「17万円」、老後が不安…貯金もできてない

2/16(日) 9:00配信

幻冬舎ゴールドオンライン

年金受給額の減少、受給年齢の引き上げ…国民の不安を煽るような報道・情報に溢れている現代。テレビを見ても、「難しい問題を取り上げるばかりで、具体的な解決策がわからない…」という人も多いのではないでしょうか。そこで本連載では、株式会社マイエフピー代表取締役・家計再生コンサルタント/ファイナンシャルプランナーの横山光昭氏が、お金の知識を、幅広く、そしてわかりやすく解説していきます。

両親や祖父母は、年金で暮らしが成り立っていたのに…

長い年月を経るなかで、お金は、存在の仕方や価値としてのあり方を変えてきました。

キャッシュレス化が進み、財布から現金を出すことも減りました。さらに、「預貯金でお金を保有するよりも、投資をしよう」という風潮も強くなり、実際に投資信託をはじめとした資産運用をする人が増えてきました。ここ数年間のマネーリテラシーの変化は、目まぐるしいものがありますよね。

両親や祖父母の時代から、「お金の価値」が変化したのと同様、「お金との付き合い方」も大きく変わってきました。今の自分、そして将来の自分のためにも、お金に関する知識はしっかり身につけるべき時代が到来したといえるでしょう。

では、お金の知識と聞いて、何が思い浮かべられるでしょうか? たとえば、昨年大きく取り上げられた「老後2000万円問題」。メディアがこぞって報道したものの、「何はともあれ老後はお金が必要らしい」という過剰な不安だけが世間を席巻してしまい、「自分はどう対策すべきか、自分はどんな対策を打てるのか」という具体策を考えられた人は少なかったはずです。

◆「老後2000万円問題」の意外な落とし穴

知識さえあれば、このような事態も、計画性をもって解消することができます。例として、数ヵ月前に相談に来られたAさん(51)を紹介しましょう。

Aさんは、定年まであと10年もない会社員の方でした。今例に挙げた「老後2000万円問題」を受け、居ても立っても居られず、相談に来られたようでした。

「今まで、老後資金にまつわるニュースを聞いても、自分事と思うことができませんでした。いえ、『老後の暮らしには2000万円準備するのが望ましい』というのは理解できます。国が発表するぐらいだから、必要なんだろうということもわかる。そうはいっても、両親や祖父母は、年金で暮らしが成り立っています。だから、きっと自分も何とかなるだろうと、世の流れを漠然と受け入れてきたんです」

Aさんは、同い年の妻と大学生の子ども2人、計4人家族で生活しています。今は収入と支出が同じくらいで、貯金をまったくできていません。2人の子どもが大学を卒業するころには、蓄えが200万円ほどにまで減る予定です。子どもの大学卒業後に、支出が削減できる見込みもありません。

定年時には退職金が1500万円程度もらえると聞いています。預貯金が減らないとしても、蓄えは1700万円ほど。老後に必要な2000万円には足りません。

「ウチには大した預貯金はないし、今後もできそうにない。でも、現実を知れば知るほど、将来の不安は増すばかりです。私でも老後に必要なお金を貯められるでしょうか? 今、具体的にどうすべきでしょうか?」

Aさんの話を聞いていると、「老後には絶対2000万円がないと生きていけない」と思い込んでしまっているようです。ですが、そんなことはありません。

そもそも、2000万円問題の前提となったのは「老後の生活費を年金だけ賄おうとすると、5.5万円不足してしまう」という統計です。このような資金繰りのまま、人生100年時代を夫婦2人で生活したら(5.5万円×12ヵ月×30年)…という仮定のもと、算出された数字が、「2000万円」なのです。

以上の事実をお伝えしつつ、Aさんの年金定期便を見ながら、生活費の不足額を計算していきました。

50歳以上の年金定期便では、65歳からの年金受給見込み額が書かれています。Aさんの年金受給見込み額は約17万円。奥様の分を足すと、約23万円になるようです(税金や健康保険料などを差し引くため、実際は、表示された金額の15%ほど少ない額が手取りとなります)。そして、その手取りと支出の差額が、老後に補填するべき金額となります。

Aさんのご家庭の場合、今の生活費に毎月およそ30万円かかりますから、差額は7万円(23万円-30万円)。つまり、年間で84万円ほどを切り崩した生活となる見込みです。老後の30年では、「2520万円」必要となる計算です。驚愕すべき数字にも見えますが、支出を見直しながら、年金暮らしまでに差額を4万円ほどに減らせたら、老後に必要な生活費は、1440万円でよいことになります。

つまり、老後必要な金額というのは、「いくらの収入を得られるか」「どのような暮らしをするか」によって、家庭ごと大きく異なるということです。もし、65歳を過ぎてもアルバイトなどで3万円程度の収入を得られたとしたら、無理に生活費を下げずとも、3万円を補填した暮らしができます。さらに生活費を抑え、補填額が少なく済むようであれば、もっと少ない老後資金でも問題ないのです。

とはいえ、一点だけ、現状「生活防衛資金」が十分でない場合は、留意すべきといえるでしょう。

生活防衛資金とは、体調を崩したり、生活上必要不可欠な高額なものが壊れたりするなど、万が一の事態に対処するための資金のことを指します。少ない額からでもいいので、不要な支出を今からカットし、毎月この資金を貯金することが大切です。取り組み自体が、老後の支出を抑える生活に直結しますので、準備が早すぎるということはありません。

このように、「漠然とした不安」が、段階を追って「具体性を持った問題」へと変わっていけば、不安は軽減されていきます。自分の将来が不透明だったとしても、表面的な部分に飛びつき不安になるのは、本当に無意味なことなのです。

また、「貯金が一番」という日本人特有の凝り固まった思想も、今の時代、かなり危ない考え方といえるでしょう。何も「国のいうことは絶対だ」と伝えたいわけではありません。しかし、なぜ国が積立投資の制度を打ち出し、国民に推進しているのか、その意味を深く考察してみるべきです。

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最終更新:2/16(日) 9:00
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