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がん患者悩ませる「脱毛症状」は治療できるのか

2/16(日) 5:50配信

東洋経済オンライン

 「がんを宣告されたときは治ることだけを考えていましたが、手術が終わって退院しても、髪の毛や眉毛、まつ毛のない自分の顔を見るのがイヤで、人に会うことも避けていました」「術後は髪が生えてくるのか心配で仕方がなくて、ただじっと待っているのが怖かったんです」「退院してからはウィッグをつけていましたが、周囲の人に『あの人、がんになったのかな』と思われるのがつらくて」――。

 これらは、がん治療にともなう脱毛症状に悩み、「Dクリニック東京 ウィメンズ」の女性頭髪専門外来を受診された人の声です。

■注目される「アピアランスケア」

 日本では今、2人に1人が、一生のうちにがんに罹患するといわれています。一方、医療技術の進歩により、早期発見・治療ができれば、がんは治る時代にもなってきています。そこで注目されているのが、「アピアランスケア」です。アピアランスケアは、がん治療に伴う外見変化に対するサポートを行い、がん患者の苦痛を軽減する役割を担っています。

 がん患者の多くが経験する外見変化の1つに、がん治療の副作用として起こる「脱毛症状」があります。筆者のクリニックにも、がん治療に伴う脱毛症状に悩み、相談に訪れる人が増えています。

 乳がんの治療を受けていたAさん(40代)が初めて来院したとき、病院で手渡されたという冊子を見せてくれました。その冊子は、抗がん剤治療と脱毛症状について詳しく説明されたもの。がん患者の不安に寄り添い、脱毛が心身に及ぼす影響や、治療前後の準備やケアについてもまとめられていました。

 ところが、術後のケアとしては、帽子やスカーフ、バンダナ、それらと併用する付け毛、医療用やファッション用のウィッグについては説明されているものの、発毛や育毛治療についてはまったく触れられていないのです。

 そこで、「1日でも早く元どおりの自分の外見に戻りたい」と切望していたAさんは、発毛や育毛を専門とする医療機関を自らインターネットで検索して、当クリニックを受診したのでした。

 Aさんは「髪がなかなか生えてこなくて悩んでいても、がんの治療をしてくれている主治医にとっては取るに足らないことだろうと思うと、相談しづらくて」とも打ち明けてくれました。

 Aさんのように、治療中や治療後に脱毛の不安や悩みを抱えていても、命に関わるようなことではないため、主治医に相談することをためらってしまう人は少なくありません。また、家族や友人に話しても「がんが治ったんだからいいじゃない」「髪はそのうち生えてくるから、待つしかないよ」などと軽い調子で言われ、密かに傷ついてしまうこともあります。

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最終更新:2/16(日) 5:50
東洋経済オンライン

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