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日本は2%成長ムリなのに予測に盛り込む虚構

2/16(日) 8:01配信

東洋経済オンライン

昨今の経済現象を鮮やかに切り、矛盾を指摘し、人々が信じて疑わない「通説」を粉砕する――。野口悠紀雄氏による連載第8回は、前々回「日本はこの先もずっと経済成長を維持できるか」(2020年1月19日配信)、前回「日本はこの先もずっと低成長しか望めない理由」(2020年2月2日配信)に続いて、日本の経済成長の未来を大胆に予測する。

【図表】財政収支に示された2020年度の姿

 財政収支試算には高成長シナリオが示されていますが、これは実現できないものです。そこで示された収支バランスも、実現されていません。高成長は実現できないとの認識に立ち、将来の深刻な問題を直視する必要があります。

■実質成長率は、2%なのか1%なのか? 

 政府の多くの見通しは、つぎのような2つのシナリオを示しています。

 低成長シナリオは、実質成長率が1%程度です。それに対して、高成長シナリオは、実質成長率が2%程度です。

 これらは大きく違います。10年経っただけで実質GDPの値は1割以上違ってきます。

 40年経てば5割程度も違います。公的年金のように長期の見通しが必要な分野では、これだけの差は、重大な違いをもたらします。

 では、どちらが現実的なのでしょうか? 

 前回記事「日本がこの先もずっと低成長しか望めない理由」(2020年2月2日配信)でも指摘していますが、明らかに低成長シナリオです。言い換えれば、「高成長シナリオは実現できない」ということです。

 以下ではこれを財政収支試算について、具対的な形でみてみます。

財政収支試算は、2つの見通しを示している
 振り返ること10年前、2010年の財政収支試算(「経済財政の中長期試算」2010年6月22日)においては、つぎの2つのシナリオが示されました(図表1参照)。

 (外部配信先では図表やグラフを全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)

 (1)慎重シナリオ
2015~2023年度の実質成長率が1.1~1.2%、2020年度の名目GDPが571.9兆円

 (2)成長戦略シナリオ
2015~2023年度の実質成長率が2.1~2.4%、2020年度の名目GDPが661.2兆円

 2010年において設定された目的は、「国・地方の基礎的財政収支(PB:プライマリーバランス)赤字の対GDP比を、2015年度までに(2010年度の水準であるマイナス6.4%に対し)半減し、2020年度までに黒字化する」というものでした。

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最終更新:2/16(日) 8:01
東洋経済オンライン

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