ここから本文です

【アメフト】日本代表史上初の現役東大生 入学時から55キロ増量のLT唐松が抱く野望

2/17(月) 23:25配信

ベースボール・マガジン社WEB

 3月1日に米テキサス州で、米育成プロリーグのTSL選抜と対戦するアメリカンフットボールの日本代表。簗瀬真史(慶大)と並んで、大学生から選ばれたのが、OL唐松星悦(からまつ・しんえ)だ。現在東京大学文学部3年生の唐松は、フル代表では史上初の現役東大生で、来季からは東大ウォーリアーズの主将も務める。次の世代を担う185センチ125キロの21歳に話を聞いた。

「男としてQBを守れ」歴戦の副将から飛んだ激

 「OLは、QBサックされ過ぎや。こんなんやっとったら、アメリカ相手にはボコボコにされるぞ。QB持たへんぞ。日本代表とかいう以前に、1人のフットボーラーとして、1人の男として、プライドをかけて『家族』を守れ」

 15日の練習終了後の全体ハドル。副将を務めるWR宜本潤平の檄が、フィールドに響いた。ユニットやポジションを超えて、あえて激しい言葉を発した宜本は、2009年ジュニア世界選手権のU19日本代表、そして2015年世界選手権の日本代表として、カナダ、メキシコ、そして米国と戦って来た。強大な北米の選手と戦ったJAPANがどんな負け方をしたか、骨の髄で記憶している歴戦の戦士だ。

 その言葉を、唐松にぶつけた。

 「ほんとうに身に染みています」と唐松はいう。東大入学以来、ポジションは左のタックル(LT)一筋だけに、宜本の言葉はある意味、自分に向けられたものと言っても良い。右利きのQBのブラインドサイドを守る“守護神”であるLTは、必然的に、DEやOLBという敵の最強パスラッシャーと対戦しなければならない。カレッジ、NFLを問わず、フットボールで最もホットな戦いが出現する現場だ。
 今回のメンバーでは、日本のLTのスターターは、経験とサイズを併せ持つ188センチ129キロの黒川晴央(アサヒ飲料)になるだろう。ただ、15分クオーター・NFLルールというタフな戦いゆえに、黒川が一時的にせよ出られなくなる場面は容易に起こり得る。
 「アメリカ人の一番エグい相手」とやらなければならない。唐松は「相手のフィジカルが、大きく強いのは間違いない。そこに対して、いかに、恐れずに、強くヒットして、フレッシュに戦い続けられるか」だという。
 神奈川・浅野高出身の唐松は東大では珍しい高校からのフットボール経験者だ。浅野高は中高一貫の6年制で、唐松は中学からタッチフットボールをプレーしてきた。「小学校まで運動したことがない『ポッチャリ』ができるスポーツだったから」。高校に進んで本格的に取り組み始めた。とは言え体重は90キロが最高。受験勉強で体重が落ち、現役合格だったが、東大入学時は70キロまで減っていた。徹底したトレーニングで体を鍛え、2年前、2018年のU19日本代表に選出された時には107キロ。今はそれよりもさらに18キロ増やした。高校入学時からは55キロ増やした計算だ。

 自信があるのはフィジカルだったが、「それは東大の中での話。ここへ来ると全然足りないのが改めてわかった」という。そして他の代表選手の「ヒットの強さ、ドライブの時に足をかき続けること。特に足の回転数が多い」ことを見習いたいという。ただ、パスプロテクションの足の運びは、それなりに通用するとも感じている。

 東大からの挑戦。当然、前日本代表ヘッドコーチ(HC)の森清之HCに相談したり、アドバイスを受けたのだろうと考えたが、唐松は「自分で決めました。森さんには、『代表トライアウトに行ってきます』と報告しただけです」。もっと高いレベルで自分が成長するためにチャレンジしたという。
 そして、唐松は今回のチャレンジの動機はもう一つあった。「2年前の雪辱」だ。
 2018年のU19世界選手権で日本代表に選出された唐松だが、日本はメキシコ、カナダに敗れ5位に終わった。「45人の枠ギリギリで引っかかった。大会でもパフォーマンスは酷かった。本当に自分の未熟さを味わった。だから鍛え直して2年後にチャレンジすると決意していた」という19歳の蹉跌だった。今年、目標にしていたのは、6月の大学世界選手権日本代表だったが、それより早くフル代表の招集を知り、逡巡することなくトライすることにした。
 「もちろん、アメリカに勝ちたい。このチームに貢献したい。でも、それだけでなく、東大にこの経験を持ち帰って、自分だけでなくチームをより強くしたい。今季、本当に日本一を目指しているから」。野望を抱く若者の眼光は鋭かった。【小座野容斉】

アメリカンフットボール・マガジン編集部

最終更新:2/17(月) 23:25
ベースボール・マガジン社WEB

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事

Yahoo! JAPAN 特設ページ