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新型肺炎で進む台湾ビジネス界の「中国離れ」

2/17(月) 5:31配信

東洋経済オンライン

 親中国が多いとされた台湾ビジネス界の雰囲気が急速に変化している。

 台湾のビジネス界では、中国との関係を重視する意見が強い。中国は13億人の人口がいる世界最大のマーケットであり、中国政府は台湾統一策の一環として「ビジネスをもって政治を囲い込む(以商囲政)」という戦略をとり、台湾企業を優遇してきた。

【グラフ】台湾の対中直接投資は急減している

 その一方、米中貿易摩擦やハイテク技術の中国への流出リスク、人件費の高騰など、中国で事業を展開する利点は徐々に薄まりつつあり、対中投資を控える動きも出ている。さらに、今回の新型肺炎をめぐって中国政府が台湾に対してとった対応が、台湾のビジネス界に中国離れを促しそうだ。

■中国赴任や出張の見合わせが続出

 中国に工場を展開している台湾企業の中には、台湾人社員や幹部の感染を防ぐため中国赴任や出張を見合わせるケースが出ている。ただ、台湾企業がここにきて中国に距離を置きつつあるのは新型肺炎の広がりそのものが原因ではない。

 台湾北部・新北市に本社があるコンピュータ部品・周辺機器製造メーカーの役員の1人が2月上旬、韓国の首都ソウルに降り立った。重要顧客である韓国の大手電機メーカーとの会議のためだ。

 会議の日程自体は2019年12月に決まっていた。韓国の顧客が2020年の秋以降に発表する新しいパソコンに使用する部品の生産について話し合うことが目的で、台湾側の出席者は当初、生産管理部門の担当部長クラスだった。役員がソウル行きを急きょ決めたのは、部品を製造している自社の中国工場について顧客に説明する必要が生じたためだ。

 「南京をはじめとする工場群を移転・縮小させたい。方針を理解してほしい」と役員は話したという。この会社は南京や広州など中国内に4カ所の工場を展開。顧客の主力工場の1つが南京にある。

 部品メーカーの工場移転には、新たな輸送網の構築や商流の承認費用などがかかる。取引規模が大きい顧客の理解を得るなど、煩雑な手続きを経る必要もある。それでもこの台湾企業が工場移転を検討し始めたのは、「中国政府の対応をみて、非常時に台湾人社員を守れないと思った」(同社幹部)からだ。

 台湾のビジネス界が不信感を募らせたのは、武漢にいる台湾人向けのチャーター機をめぐる中国政府の対応だった。中国政府は1月下旬に発生地である湖北省・武漢の封鎖を決定。航空機の運航も停止し、多くの外国人が武漢に取り残された。日本やアメリカ、韓国などは自国民を救出するため、チャーター機を武漢に派遣するに至った。

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最終更新:2/17(月) 5:31
東洋経済オンライン

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