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【中国風刺画コラム】愛国者にも忌み嫌われる「中国赤十字会」というウイルス

2/18(火) 19:33配信

ニューズウィーク日本版

<寄付されたマスクや防護服を治療の最前線ではなく、美容整形や産婦人科を扱う縁故の民間病院に配布していた武漢市赤十字会――「官僚病」を患う組織にネット上で怒りが噴出>

湖北省の省都、武漢市から始まった新型肺炎の拡大で、中国人に衝撃を与えている組織がある。湖北省や武漢市の赤十字会だ。

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中国メディアによると、1月末までに武漢市赤十字会はマスク9316箱、防護服7万4522着、医療用ゴーグル8万456個およびその他の薬品や医療機器の寄付を受け取った。しかし、感染者が最も多く、治療の第一線にある武漢市協和医院には届かず、医師がSNS上で「マスクも防護服も全部なくなった! 助けて!」と救助を求めた。

メディアが湖北省赤十字会の援助物資配布先を調べると、そもそも協和医院の名前はなく、感染症と無関係で美容整形と産婦人科を主に扱う「武漢仁愛医院」という民間病院に1万6000枚のマスクが配布されていた。ネットユーザーらは仁愛医院の株主の中に湖北省政協委員兼湖北省民間病院連合会会長という有力者の名前を見つけた。病院の後ろ盾だ。

さらに、ある記者は武漢市にある赤十字会の臨時倉庫で、武漢市政府の公用車に乗った人物が「指導者用だ」と言って、堂々と段ボール1箱の医療用マスクを持ち去る場面を目撃した。各病院からのスタッフが援助物資を受け取るために、30分以上並んでいるのを横目で見ながら。

「人命に関わるときでも特権が横行している」「赤十字会ではなく、良心が腐った黒十字会だ!」。ネットに人々の怒りの投稿が流出、投稿は炎上したが、直ちに削除された。

世界で赤十字は非政府組織・人道支援団体のイメージが強い。しかし中国の赤十字は違う。中国政府の指導を仰ぎ、責任者は中国政府から任命される。そのため、この組織は中国式の「官僚病」を患っている。寄付金の利用や支出は不透明で、情報開示も会計の公開もしない。スキャンダルも頻発し、2011年の「郭美美事件」では資金横領を疑われた。

「絶対に赤十字会を信用するな」── 愛国者の「小粉紅」でも、中国の赤十字会は信用しない。今回を含めて、普通の中国人は義援金や物資を寄付するとき、できるだけ第三者の民間ボランティア団体を選ぶ。新型コロナウイルスを防ぐのと同じように、中国赤十字会というウイルスを防いでいるのだ。

【ポイント】
郭美美事件
「中国赤十字会商業総経理」を自称する郭美美(クオ・メイメイ)という20代の美人がSNSでリッチな生活を公開すると、寄付金の使途に対する疑念が高まった。郭は中国赤十字関連会社の元幹部の愛人。その後、中国赤十字会の不透明なビジネスや資金管理が次々発覚した。

小粉紅
中国語で「ピンクちゃん」の意味。完全に「赤く」染まっていない、若い世代の民族主義者を指す。

ラージャオ(中国人風刺漫画家)/トウガラシ(コラムニスト)

最終更新:2/18(火) 19:33
ニューズウィーク日本版

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