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高齢者にとってポリファーマシーのリスクは何か?|薬を使わない薬剤師 宇多川久美子のお薬講座

2/20(木) 15:01配信

サライ.jp

高齢者ほど薬効成分が効きやすい理由

ポリファーマシー(多剤服用)という言葉が知られるようになりましたが、特に問題が出やすいのが高齢者です。読者の中にはご自身だけでなく、親の薬の量を見て心配されている方もいらっしゃるでしょう。

厚生労働省が2019年6月に発表した「高齢者の医薬品適正使用の指針」によると、65~74歳の3割、75歳の4割の人に、5種類以上の薬が処方されていました。そのうち7種類以上の人が、それぞれ13.5%、24.5%と、なんと75歳以上では4人に1人でした。

ポリファーマシーになっている高齢者の多くの人は、かかりつけの病院で7種も10種もまとめて処方されるわけではありません。内科、整形外科、皮膚科など、いくつもの科で診療を受けて、似たような薬効の薬が重複していくことが多いのです。

一般的に服用する薬が6種類以上になると副作用のリスクが高まるといわれています。といって、5種類までなら副作用のリスクがないわけではもちろんありません。どんな薬も、1つから副作用はつきもの。それが6種類以上ともなると、副作用が起きても、どの成分による作用か突き止めることがむずかしくなり、予想外の副作用が起きるリスクも高まります。

高齢者に副作用が出やすい主な理由は、肝機能や腎臓機能の低下です。薬の成分の代謝が遅くなり、排泄されるにも時間がかかるようになります。薬効成分が体内に長く留まっているため、用法通りに飲んでいても効き目が出やすくなります。

高齢者にとってのポリファーマシーのリスク

ポリファーマシーがすべていけないとは思いません。6種類以上の薬を必要に応じて適正に服用している人もいます。

起こりえるリスクは、似たような薬効成分の薬が重なったときです。

たとえば、ふだんから肩や膝の痛みを抑えるために「痛み止め」を飲んでいる人が、風邪で熱が出て「熱冷まし」を飲むという場合。整形外科で処方されている痛み止めは、たとえば「ロキソニン」で知られるロキソプロフェンだとします。そして熱冷ましには内科でイブプロフェンが処方されたとします。いずれもNSAIDs(エヌセイズ)と呼ばれる鎮痛解熱剤で、痛み止めにも解熱にも効果があります。それを2種類飲むことで必要以上の効き目が出る、つまり副作用が出るリスクが高まります。

眠くなる成分の入った薬にも注意が必要です。たとえば、ふだんから睡眠薬を飲んでいる人が、「かぜ薬」や「痛み止め」を併用する場合です。上述のNSAIDs(エヌセイズ)には、個人差がありますが眠くなる成分が入っています。また、花粉症などの抗アレルギー剤にも、人によっては眠くなる成分があります。

特に注意していただきたいのは高齢者です。睡眠薬との併用によって、日中にふらついたり、めまいを感じたりすることがあります。高齢者の場合、ふらついて転倒→骨折→入院という流れが非常に多い。長い入院生活のせいでそのまま寝たきりになったり、認知症が進んでしまうケースも非常に多い。高齢者にとって転倒は寝たきりコースの入り口になりかねません。薬の併用がもたらすふらつきやめまいを軽く見てはいけません。

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最終更新:2/20(木) 15:01
サライ.jp

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