ここから本文です

『AI崩壊』ではシリアス演技、『ヲタ恋』ではコメディ演技を披露 賀来賢人の高いポテンシャル

2/20(木) 6:03配信

リアルサウンド

 興行的にも評判的にも好調な『AI崩壊』でシリアスな演技に徹しているかと思えば、その1週後に封切られた『ヲタクに恋は難しい』でコメディ演技に振り切れている賀来賢人。ここで私たちは改めて、彼のポテンシャルの高さを再認識することになったわけだ。

【写真】三橋役中の賀来賢人の撮り下ろしカット

 前者『AI崩壊』で賀来が演じているのは、“AI”が人々の生活を支える2030年の日本で、その“AI”の管理を担う存在。この“AI・のぞみ”は、全国民の個人情報や健康状態を完全に把握、管理し、人々にとって欠かせないものだ。これの管理をする者とあっては、賀来が演じる西村悟がどれほどの大人物であるかは想像に難くない。その身のこなし、発する言葉尻にまで気品が感じられる。やがてこの“AI・のぞみ”が暴走し、開発者である桐生浩介(大沢たかお)が容疑者として追われる身となるのだが、その義弟である悟(賀来賢人)は信じることを止めず、義兄の逃亡劇の援助者になることに。これだけの情報を並べれば、賀来が本作においてどれだけ重要な役どころを占めているか分かるだろう。作品にみなぎる緊張感を、助長するような力を彼は求められているのだ。そしてそれに応えている。

 一方、後者『ヲタクに恋は難しい』で賀来が任されているのは、当然ながら観客の“笑い”を引き出す役どころ。主演の高畑充希と山崎賢人が生み出す“笑い”を、彼はさらに増幅させなければならない。賀来が演じるのは、山崎演じる“ゲームヲタク”の主人公の同僚で、“古参声優ドルヲタ”という特異なキャラクター。アイドル声優の話になると途端にテンションが振り切れ、高水準の“ヲタ芸”もこなす。彼は『AI崩壊』とは正反対と言ってもいい演技アプローチで勝負しているのだ。賀来は安心・安定のパフォーマンスを披露しているわけだが、両作の公開がたった1週違いとあって、ここで私たちに与える驚きはかなり大きい。冒頭で述べたように、彼のポテンシャルの高さを再認識することになるわけだ。

 近年の賀来といえば、“喜劇役者”として広く知れていることだろう。映画でいえば『斉木楠雄のΨ難』(2017年)、ドラマでは、主演を務め、彼の代表作ともなった『今日から俺は!!』(2018年/日本テレビ系)などでの姿がすぐに思い浮かぶ。これらの福田雄一監督の手掛ける作品で彼が新たな魅力を開花させ、その名をより世に知らしめてきた。今作『ヲタクに恋は難しい』も含めて、賀来の見せる変顔や奇妙なポージング、ハイテンションな話芸は、話題のトピックスにも上がることも多く、見せどころとして、彼の武器にもなっている。しかし、一連の作品で賀来がフィーチャーされるのは、これらの振り切れ具合いばかりであり、前述した『AI崩壊』などで見せるシリアスな芝居にも注目が集まるべきだと思うのだ。

 吹き替え声優を務めた『ライオン・キング』(2019年)や、ミステリアスな展開と演者陣の熱い姿が話題となった『ニッポンノワール-刑事Yの反乱-』(2019年/日本テレビ系)などの作品も同様に、主演であっても、脚本上でインパクトのあるキャラクターを、きちんとインパクトのある役として仕上げるのは容易なことではない。だが、それらの作品での賀来のインパクトが強く、大げさではあるが、“福田雄一色”に染まったイメージを抱きすぎてしまっている人が多いのではないか。

 実際のところ、『ちはやふる -結び-』(2018年)などでの賀来の、あの静かな演技に魅了されている者も多いだろう。『AI崩壊』と同様に、繊細さが求められる役どころであった。“喜劇役者”としての賀来も魅力的ではあるのだが、器用な俳優というだけあって、一つのイメージに縛られてしまうのは非常にもったいないのではないか。とはいえ、彼が率いる『今日から俺は!!』の劇場版は楽しみであるし、さまざまな女性たちとの出会いを通してトラウマに立ち向かっていく青年を演じる『死にたい夜にかぎって』(MBS/TBS)の放送も楽しみだ。2020年、快調な走り出しを見せる賀来賢人を追っていきたい。

※山崎賢人の「崎」は「たつさき」が正式表記。

折田侑駿

最終更新:2/20(木) 6:03
リアルサウンド

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事

Yahoo! JAPAN 特設ページ