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佐々木朗希は待つ喜びを教えてくれる。 逸材は実戦登板へスロー調整

2/20(木) 6:30配信

webスポルティーバ

すべての人間にとって贅沢な時間だった。

 北谷公園野球場に隣接するブルペンはマウンドが8カ所も設置されており、8人もの投手が同時に投球練習できる。その広々とした空間を、中央部のブルペンに立ったひとりのルーキーが独り占めしていた。

大船渡は佐々木朗希を育て、守った。登板回避よりも伝えられるべきこと

 捕手の後方ネット裏にはロッテの井口資仁監督をはじめ、評論家がズラリと並ぶ。その端では中日の選手たちまで興味津々の面持ちで座っていた。ブルペンの両サイドに設置された観覧席には、鈴なりの報道陣約100名が囲う。

 ともすると、「大事なルーキーを見世物にして」と批判を浴びてもおかしくない状況でもあった。だが佐々木朗希は、そんな小市民的な心配を吹き飛ばすような大きな存在だった。

 ブルペン捕手の小池翔大を立たせて24球。リズムをつけて左足を高々と上げ、捕手に向かって体重移動して右腕を上から叩きつける。おそらく力加減としては8割程度だろう。それでも、爆発力のあるリリースから、小池のミットを粉砕するような剛球を投げつける。ブルペンは小池の捕球音以外、ただただ静謐(せいひつ)な時間が流れていた。

「前よりもしっかりと、納得のいく球が増えたと思います。全体的にまとまっていました」

 ブルペン投球を終えた佐々木は、そう総括した。

1年前の4月6日、佐々木は高校日本代表研修合宿の紅白戦で163キロを計測している。その登板後、本人は「変な力が入った」と語ったが、見る者をしばらく放心状態にさせるボールだった。殺気を帯びたあの投球を思えば、ある程度セーブして投げている現在は嵐の前の静けさを思わせる。

 研修合宿の直後、佐々木は骨密度など身体の内部を精密検査している。その結果、佐々木の肉体はまだ成熟していないことが判明した。大船渡高の國保陽平監督は「163キロは出てしまいましたが、まだ球速に耐えられる体ではないということです」と説明している。その後、昨秋に佐々木がプロ志望を表明した際にも、國保監督はまだ成長段階であることを明かした。

 前代未聞の素材だろう。160キロを軽々と超える馬力だけでなく、190センチの大きな体をイメージどおりに動かす身体操作性。肩甲骨、股関節を頻繁にほぐす練習中のふるまいを見ていれば、取り組みにも独特のこだわりがあることはすぐに察知できる。ドラフト前、あるスカウトは冗談交じりにこんな言葉を漏らしていた。

「本音を言えば、佐々木を獲るのは怖いですよ。とんでもない夢がある反面、育てきれなければ猛烈に叩かれるわけでしょう」

 佐々木が入団したロッテは、佐々木のために30ページにわたる育成マニュアルを作成したという。井口監督は1月11日の新人合同自主トレ初日に「育成プランはありますが、公開するようなものではないので、これから見守ってもらえれば」と語っている。

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最終更新:2/20(木) 6:30
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