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実力主義の米国で生き残れる日本人はわずか、されど…

2/20(木) 18:00配信

日経ビジネス

 私は「週刊 Life is beautiful」というメルマガを発行しています。そこに寄せられる質問の多くは、海外で働くことに関する相談です。

【関連画像】中島 聡(なかじま さとし)。世界初のパソコン用CADソフト「CANDY」を開発し3億円もの印税を稼ぐ。マイクロソフトで、Windows 95、同98、Internet Explorer 3.0/4.0のチーフアーキテクトなどを務めた、伝説のプログラマー。(著者近影 © naonori kohira)

 背景には、低迷する日本の経済と、GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)に代表される米国のIT(情報技術)企業の躍進があります。日本の会社員の平均年収が500万円であるのに対し、GAFAのエンジニアの平均年収は日本円で2000万円を超える。それゆえ「米国で働きたい!」と考える人が多いのだと思います。

 しかし、この数字だけを見て、「米国で働いた方がよい」と結論付けるのは早過ぎます。

 まず、物価が違います。日本の物価はバブル崩壊後30年間ほとんど上昇していませんが、同じ期間に米国の物価は2~3倍になっています。

 日本では、最も物価の高い東京のオフィス街ですら1000円で立派なランチが食べられます。サンフランシスコやシアトルで同じようなランチを食べようとすると2000円近くします。

 不動産に関しては、もっと開きがあります。サンフランシスコ市内で一人暮らしをしようとすれば、最低でも月2000ドル(約22万円)の家賃が必要です。一軒家を持つとなれば、100万ドル(約1.1億円)超は当たり前です。シリコンバレーで中流以上の暮らしをしたければ、年収25万ドル(約2750万円)が必要だと言われるのは、それが理由です。

●厳しい実力主義と貧富の差

 さらに日本と大きく違うのは、実力主義と、その結果である貧富の差です。米国でエンジニアとして活躍できれば、年収25万ドルどころかストックオプションの恩恵で100万ドルを超える年収を得ることも十分に可能です。その一方で、役に立たない人はすぐに解雇されるという厳しさもあります。常に新しいことを勉強し続け、新しいものを作り続ける能力を持った一握りの人たちだけが、米国のテック企業では優遇されるのです。

 ここ20年ほどで、米国の企業の生産効率は大きく上昇しました。それはITの導入と、定型作業をする中間層の人たちを解雇した結果です。日本だとボリュームゾーンである年収500万~700万円で働く人たちが、最低賃金のサービス業に追いやられてしまいました。

 つまり、米国に移住してエンジニアとして活躍できればよいですが、そうでなければ、物価の高いシリコンバレーやシアトルでまともな暮らしをすることは不可能と考えた方がよいのです。

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最終更新:2/20(木) 18:00
日経ビジネス

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