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仕事のできる50代が「できないこと」にあえて挑戦すべき理由

2/21(金) 11:06配信

日経BizGate

中年になると皆がランニングを始める?

 前回の「50歳過ぎて活躍するため『知力』以上に大切なこと」では、50歳を過ぎて活躍するために「子どもの頃からやってみたかったことなどを思い出して取り組んでみたら?」といったが、「いつかやってみたかったこと」などない、という人もいらっしゃる。だから、今回は、別の提案をする。「やったことがないこと」「できないかもしれないこと」「関心がなかったこと」「避けて通っていたこと」・・・そういうことを仕事の中で見つけて、意識的に取り組んでみるのだ。

 ある40代の管理職Aさんがこの前、面白い話をしてくれた。

 「中年になると、なぜか、皆、ランニングを始めません?ボクの周囲には、マラソンをやっている人が多いんですよね」

 確かに!

 私とフェイスブックでつながる人たちが、やたらと走り始めるのは、だいたい40代以降だ。最初は、時間に余裕ができるから、あるいは、中年太り解消のためと思っていたが、Aさんは、こういう。

 「ミドルにもなると、“できない仕事”がほとんどなくなるじゃないですか。でも、人って、“できないこと”を見つけたいんじゃないかな。走ってみると1分も続かないとか、5キロも走れないとか、自分の能力のなさに気づく。仕事では味わえない、“できない”“苦しい”体験ができる。それもあって、みんな中年になると走り始めるんだと思うんです」

 なるほど。それもあるかも。

50代になっても人は“できないこと”を見つけて成長したいと思うもの

 走ると自分の能力の低さに気づくが、練習していると少しずつ走ることができる距離が伸びたり、タイムが良くなったりする。そのうち、競技会に出場し始め、目標を持ち始める。最初は完走だろうが、次は〇時間◎分以内のタイム――などだ。そうやってクリアしたいポイントを設定して、ひたすら努力する。

 自分が楽にいられる場所・領域を「コンフォートゾーン」という。コンフォートゾーンは、温かい湯に浸かっているようなもので、なんとなく居心地がいい。しかし、いつまでもそこにいると、「このままでいいのか?」と焦り始める。「つまらない」とも思い始める。「コンフォートゾーンから抜けなければ」と思う。

 どうやら、ランニングを始めた人たちは、このコンフォートゾーンから抜け出るための手段として自らに走ることを課している場合があるようなのだ。

 苦しいし、痛いし、大変だけれど、伸びていく自分!――そうした自分を求めて、走るミドルは意外に多いのかもしれない。「走る」は一例で、ミドルになって苦手な英会話に取り組む、なども同じだろう。

 もちろん、運動などであえて「ツライ」体験を求めるミドルやシニアがいる一方で、仕事の中でも今の能力を少し超えた目標に挑戦する人もいる。

 40代のBさんがこんなことを言っていた。

 「ベテランになってきて、だいたいどんな仕事でもわかってしまうんです。もちろん、全てが簡単な仕事ではないですが、難しくても、“こうすればこうなるな”と先が見えるというか、見通しがつきます。完全なる未知で、“どうしよう?”と途方に暮れることもなければ、“わからない”“できない”という苦しい経験もない。つまり、後輩たちと比べたら、各段に楽にできてしまう」

 仕事は多忙だし、年々難易度を上げて仕事に取り組んでいるように見える彼女でも、「楽にできてしまう」と思うのだなぁと聴いていると、さらに彼女は「だから、こういう言い方は、いけないかもしれないけど、“できてしまう”仕事ばかりだと、自分で自分がつまらないんです」と続けた。

 仕事のモチベーションが下がっているとか、仕事自体がつまらなくなったという意味ではない。彼女は、どの仕事も一生懸命取り組んでいるし、顧客からも高い成果を得ているのだが、「見通しがついてしまい、自分の成長が感じられない」ということだろう。

 そこで彼女はどうしているかというと、「できるだけ未知の、これまでの経験とは勝手の異なるものを先輩などから引き継いだり、新たに自分で立ち上げたり」して、成長実感を持つようにしているのだそうだ。

 「できること」だけに囲まれていると、それはそれで「不安」「つまらない」という気持ちを持つのは私もわかるような気がする。

 そう、ミドルやシニアになると、たいていの仕事が、「コンフォートゾーン」の中でできるようになる。そこに留まり、満足してしまう人もいるだろうが、よくよく自分の心の奥底を探ると、「本当にこれでいいのか」「私にもまだ可能性はあるのではないか」という意識があるのではないだろうか。

 彼女は、難易度の高い仕事やレベルの高い引き継ぎ仕事を自分から取りにいくことで、「コンフォートゾーン」から意識的に出て行こうとしている。彼女は40代だったが、50代だって同じだ。

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最終更新:2/21(金) 11:06
日経BizGate

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