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やらかしても前を向く。DeNA倉本寿彦は ファン350人と握手した

2/21(金) 6:10配信

webスポルティーバ

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 2018年5月29日、東北楽天との交流戦──。

 横浜DeNAベイスターズの倉本寿彦は、茂木栄五郎の平凡なセカンドゴロを「感覚の違い」で内野安打にしてしまい、2日後に二軍落ちとなった。このプレーをきっかけに、ネット上では倉本を"叩く"風潮がますます顕著なものとなってしまう。そんな痛恨のミスの後でも、倉本は淡々と前を向き続けた。

DeNA戦力外のあの選手が夢見るビッグマネー

「プロとしては、やってしまったことは受け入れるしかない。マイナスな気持ちにもなりますけど、絶対に言い訳したり、悪い感情を持ったりしない。言葉が物事を動かすこともありますからね。ミスをして批判をされても、受け入れて、反省して、前を向く。

 ひとりじゃ厳しい時も、僕は周りの人に本当に助けられています。過去に同じようなミスをしたチームメイトに声をかけてもらえたこともそうですし、球場に行けば、僕に『がんばれ』と声をかけてくれる人たちがいたことも、前を向く力になりました」

* * *

 もう後がないと臨んだ19年シーズン。倉本は開幕一軍メンバーに選ばれたものの、なかなか結果が出せず、ベンチを温める日々が続いていた。やがてチームが上昇気流に乗り出した6月5日に登録を抹消されると、しばらくは一軍から声がかからなくなった。

 夏の日。横須賀の練習場へ行くと、倉本はいつもと同じように最後まで黙々とバットを振り続けていた。練習が終われば陽が西に傾くなか、最後の1人までファンにサインをし続ける。

「僕がファンの立場だったら、サインしてくれたら嬉しいじゃないですか」

 プロに入ってからの5年間、ずっとその姿勢は崩していない。

「いろんな声がありますし、一軍の試合にも出られていない状況なので、気持ち的にファンの人たちの前に出づらいなぁと思う時もあります。でもそこで一歩踏み出してみると、自分が思っている以上にファンの人たちが喜んでくれて、僕に『がんばれ』と声をかけてくれる。

 その言葉やファンの人の顔が、ひとりになって、いろいろと考えてしまう時にふとよぎるんです。プロ野球選手なら、がんばらなければいけない。最後まで前を向き続けなければいけないって、本当は僕のほうが何度も助けられているんです」

 19年。倉本は出場24試合、わずか4安打とプロ入り後ワーストの成績に終わった。

「悲しい、悔しいと嘆くよりも、自分の力で、周りを、世界を変えていくしかない。来年はすべての面において、それができるチャンスだと思っています」  昨秋。倉本は2年ぶりに宮崎のフェニックスリーグに参加した。その最終週、打席に入った倉本のバットはヘッドを頭の後ろに入れないフォームに変わった。少しでもバットの出をスムーズにしてヒットを打ちたいという願望が見てとれた。

「フォームを変えたのは、自分の理想である、ヒットを数多く打ちたい、打率を残したいという考えに一番コンタクトできる形だからです。(細川)成也と話しているなかで試してみようと思い、実際いい感覚を掴めています。試合に出られなかったことで、必要なことは変えなければいけないけど、これまでやってきたことすべてを変える必要はない。自分の芯の部分だけはブレちゃいけないと思うんです」

 奄美での秋季キャンプでも調子の良さを持続していた。監督のラミレスは、「今の状態なら16年のキャリアハイを上回ることができるだろう」と手放しで絶賛したが、新シーズンへの確証は何ひとつとしてない。

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最終更新:2/21(金) 10:03
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