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ひどい冷え症は甲状腺を疑って 機能低下で乾燥肌にも

2/22(土) 7:47配信

NIKKEI STYLE

冷え症がひどい、肌がカサカサする――。冬によくあることと思われがちだが、甲状腺の機能低下かもしれない。新陳代謝を促す器官だけに、放置すれば全身に関わる。適切に対処して、健康を保ちたい。
甲状腺は、のどぼとけのすぐ下にある臓器で、食物などに含まれるヨウ素(ヨード)を原料として甲状腺ホルモンを作る。人間の新陳代謝をつかさどるホルモンであり、昭和大学横浜市北部病院(横浜市都筑区)甲状腺センター長の福成信博氏によると、「甲状腺は元気の源を作り出している臓器」。その働きが落ちるのが甲状腺機能低下症だ。
甲状腺ホルモンの最も重要な働きは体温を維持すること。甲状腺の機能低下でホルモンが不足すると冬の寒さに弱くなる。他の家族にとって適温のリビングでも一人だけ毛布にくるまったり、保温下着を重ね着したりする患者も多い。夏場ではエアコンの冷風をつらく感じる。
倦怠(けんたい)感やメンタル面の症状である意欲の低下も高い頻度で発生する。40~50代の女性では更年期うつ病と誤診されることも多いという。また、便秘、皮膚の乾燥(カサカサ肌)、脱毛、むくみなどの症状が起こる。血中コレステロール値に異常が表れることもある。
甲状腺機能低下症は健康診断の血液検査から可能性を指摘されることもある。人間ドックで甲状腺検査を受けた人の4%に見られ、比較的かかりやすい病気だ。男性より女性に多く特に中高年の女性で目立つ。
人間ドックやかかりつけ医で行われる甲状腺検査では、血液中の甲状腺刺激ホルモン(TSH)と、甲状腺ホルモンの量を調べる。TSHは脳下垂体が甲状腺に指令を出す際に分泌するホルモン。甲状腺の働きが落ちると、脳下垂体から「働け、働け」とばかりにTSHが分泌される。
福成氏によるとTSHは、「甲状腺機能低下を示す非常に感度のいいセンサー」。機能低下によって甲状腺ホルモンの量が減り始める前段階から、TSHの分泌量が増え始める。そのため甲状腺ホルモンの量が正常値のまま、TSHの量が高めに出ている場合がある。そうした状態でも疲労やストレスなどで甲状腺機能にちょっとした変動が起こると、さまざまな不調をもたらすことがあるという。
甲状腺検査で甲状腺ホルモンが正常値より低かった時はもちろん、TSHの方だけが正常値から外れている場合でも、甲状腺を専門に診ている医師の診察を受けたい。どの段階で治療を行うかは、専門医と相談しながら進める。
甲状腺ホルモンの明らかな低下が常に見られる場合は、原因や症状に応じた治療が行われる。原因には、他の疾病で使う薬剤の影響や、ヨード類の取り過ぎなどがある。一番多い原因は、正常な細胞を誤って攻撃する自己免疫疾患の橋本病だ。甲状腺に慢性的な炎症が起きて機能低下するもので、20~40代の女性に多くみられる。
原因が橋本病の場合は、合成甲状腺ホルモン剤を服薬する。ホルモン剤の薬物治療ではずっと薬を飲み続けることになる。甲状腺疾患の専門病院である伊藤病院(東京・渋谷)内科医長の渡辺奈津子氏は「定期的な検査を行っていれば健康を保てるので、安心して服薬を続けてほしい」と話す。
渡辺氏は、甲状腺機能が低下すると「身体の不調が少しずつ進むので、更年期のせい、年のせいだろうと考えがち」と指摘する。不調が改善しない場合、かかりつけ医などに相談して「一度、甲状腺機能の検査を受けてほしい」と訴える。体調の異変を見逃さず早めに検査を受けることが健康維持のために重要だ。
(ライター 荒川直樹)
[NIKKEIプラス1 2020年2月8日付]

最終更新:2/22(土) 19:15
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