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【注目の岩田健太郎教授が分析】しゃかりきな、水際対策、意味あるの?―日本の過去の感染症対策を振り返るー

2/22(土) 12:00配信

BEST TIMES

――新型コロナウイルスが猛威をふるうなか、発生源の中国だけではなく、日本でも感染者が日々増え続け、その影響はもはや世界規模にも及んでいる。
 勢いは増すばかりで、日本も対策に迫られている。そのひとつが水際対策なのだが、最近では、国内外から賛否両論。迅速だったという人もいれば、遅すぎるという人も……。
 感染症診療の第一人者であり、神戸大学大学院医学研究科感染治療学分野教授・岩田健太郎氏の著書『インフルエンザ なぜ毎年流行するのか』(KKベストセラーズ)から、過去に流行した感染症に対する日本の「水際対策」について議論する。
 今、日本が本当にするべきことは何か? 順序立てて考えてみよう。

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◆「水際対策」はうまくいったのか? 

 2002–03年に中国を中心として「SARS(サーズ)」という感染症が流行しました。日本では「水際対策」といって、海外から入国するときに体温を測ったりして、対応しました。

 前述のように2009年にも「新型」と呼ばれるインフルエンザ(もう10年近くも前のことですが、今「新型」と呼ぶのはとても違和感がありますね。なんと呼べばよいのやら……)が流行しました。メキシコとかアメリカとかカナダで発生したウイルスに対し、「水際対策」として日本に入ってこないような対策をとりました。

 しかし、水際対策はうまくいったのでしょうか。

 例えば、SARS。幸い、日本での患者の発生はなかったのです。よかったあ。さすがは日本の感染対策、うまくいったよなあ。

 ……と思ってはいけません。

 なぜかというと、2002–03年に流行したSARSは世界のあちこちに患者をもたらしましたが、日本には患者がやってこなかったのです。

 つまり、「水際対策」がうまくいってSARSの日本侵入が阻まれたわけではないのです。たまたま偶然、日本にはSARS患者がやってこなかった。ラッキーだったのです。これは、2014年に韓国で流行して問題になった中東の感染症、MERSについても同様です。

 そして、前述の2009年、「新型」インフルエンザ。

 これは3月頃からアメリカ大陸のあちこちで流行しだしたのですが、結局日本には5月に持ち込まれ、神戸市で国内発症がありました。そのあと全国レベルで広がっていったのはご存知の通り。

 では、「新型」インフルに「水際対策」がうまくいったのか? これにはいろんな意見があります。が、少なくとも、はっきりと「うまくいった」と示すようなデータはありません。

 水際対策に何らかの意味があるのか? 

 もちろん、なんにだって意味はあります。

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最終更新:2/22(土) 12:00
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