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「どんな人も家族からは決して逃れられない」――アリ・アスター監督インタビュー

2/22(土) 6:00配信

文春オンライン

自分の人生の中心には常に家族がある

――『ミッドサマー』も『ヘレディタリー』も、またそれ以前に製作された短編作品もやはり家族をめぐる物語です。なぜこれほど家族というテーマに惹きつけられるのでしょうか。

アリ・アスター 万人に通じる重要なテーマだと思うから。自分に安寧をくれる場所か、苦痛を与える場所か。人によって存在意義は違うでしょうが、どちらにせよ家族からは決して逃れられない。孤児として生まれた人々にとってさえ、家族の欠如ということが大きな意味を持ち始めます。古典を紐解いても、ギリシャ悲劇やシェイクスピアなど偉大な物語の多くは家族をテーマにしている。少なくとも自分の人生の中心には常に家族がある。家族は、自分にとって聖域でもあると同時に、罠として機能してしまうこともある。その存在をめぐる謎は増すばかりです。だからこそ映画を使ってその謎を掘り下げたいのかもしれません。一生かかっても解き明かせない気もするけれど。

――精密な画面設計にも驚かされたのですが、事前に絵コンテなどは用意されているんでしょうか。

アリ・アスター 絵コンテではなく、撮影前に、何をどう撮りたいか、自分の頭の中にある映画を文字で詳細に記したショットリストを制作します。それを美術監督と撮影監督に見せ、一日4、5時間かけてすべてのショットを説明する。その作業を約1か月続けます。僕の頭にある映画を共有してもらい、撮影に臨むわけです。この作業をするおかげで、撮影用のセットのどの部分を可動式にするか、この壁は映らないからつくらなくていいといった打ち合わせを事前にできる。『ヘレディタリー』の場合はスタジオに家を建て、『ミッドサマー』ではハンガリーの平原に村全体を建てたわけですが、どちらもハリウッド映画の規模でいえば低予算映画。撮影しないものに無駄にお金をかけたくなかったので、事前の綿密な打ち合わせが役に立ったというわけです。それと映画の撮影は、僕にとってとてもタイトでストレスを感じる期間なので、撮影が始まる前にすべて準備しておけば安心できるんです。

――ご自分について、すべてをコントロールしたがる完璧主義者だと思いますか?

アリ・アスター はい。

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最終更新:2/22(土) 6:00
文春オンライン

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