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女性向け学び直し、より実践的に 再就職・昇進後押し

2/23(日) 7:47配信

NIKKEI STYLE

大学が主婦や社会人女性向けに開講している「リカレント教育」が進化している。インターンシップやゼミなどより実践的なカリキュラムを取り入れている。働く女性が増えたとはいえ、国際的に見れば日本の現状は見劣りする。真の女性活躍へ――大学も底上げに一翼を担う。
「今年4月に7年ぶりの正社員復帰です」。福岡県の福留奈那さん(39)は笑顔をみせる。就職先は地元の塗料メーカー。得意の英語力を生かして輸出業務も担う。
大学卒業後に旅行会社に就職した。海外留学を経て英語講師に転職したが、2012年に長男を出産して退職した。ただ40歳を目前に考えた。「もう一度、しっかり働きたい。自分の力を試したい」
そんなとき福岡女子大学が「女性のためのウェルカムバック支援プログラム」を19年8月から開講すると知った。出産・育児や介護などの家庭の事情でキャリアを中断した女性の再就職を支援するという。迷わず受講を決めた。
特徴は有償インターンシップを取り入れていることだ。開講は12月までの丸4カ月間。前半は座学中心に60時間学び、後半は求人中の企業で実際に60時間働く。受講生は自分がどこまで働けるのか、不安だ。一方、企業もブランクのある人材が本当に戦力になるかに戸惑う。双方の不安を解く狙いだ。
福留さんを含めて受講生8人中6人が、インターンシップ先に再就職した。「有償なので互いに真剣勝負。相互にしっかり見極められて高い再就職率に結びついた」とプログラムを担当した講師の桜木理江さんは説明する。
大学での学び直しを意味するリカレント教育。08年に日本女子大学と関西学院大学が主に主婦層を対象に再就職講座を開講し、脚光を集めた。そこから10余年。その内容も確実に進化を遂げている。
「いかに人の行動を引き出すか。リーダーシップが組織の成果を左右する」。山形県鶴岡市にある東北公益文科大の教室で2人の女性が大画面に投影される授業に見入っていた。授業を実施しているのは600キロメートル離れた関西学院大学の大阪梅田キャンパスだ。
関学大の「ハッピーキャリアプログラム」はビジネススクールの教授陣らが大学院レベルの実践科目を教えている。そのエッセンスを遠隔地でも受講できるように昨秋オンラインコースを開設した。連携第1号が東北公益文科大だ。音声もつなぎ、討論にも参加する。
受講する女性(60)は「学びたくても鶴岡には学ぶ場がない」と話す。山形生まれ山形育ち。地元企業を昨年、定年退職した。嘱託として残っているが、70歳現役を目指して新たな道を模索する。「画面越しだけど意欲が高い女性と交流できて刺激になる」
20年度はさらに2大学がオンラインコースに加わる予定だ。関学大教授の大内章子さんは「女性の学び直しニーズは地方にもあるが、支援プログラムを自前で運営できる大学は多くない。これまで培ったノウハウをオンラインで全国に広げて働く女性の底上げに貢献したい」と意気込む。
明治大学が運営する「女性のためのスマートキャリアプログラム」。財務諸表の見方やプレゼンテーションスキルなどを半年で120時間以上学び、再就職に備える。プログラムの軸はマーケティング実践ゼミだ。企業から実際に課題をもらい、受講生は5人一組となって解決策を提案する。良品計画や山崎製パン、サントリーグループなどがこれまでに課題を提供した。
小売店舗の集客力アップ戦略やネット販売サイトの見直しなど実際に直面している課題ばかりだ。座学で学んだ知識を活用して解決策を練る。「メンバーは様々なので意見も衝突するし、各人の強みを結集して最適な解決策に至るのは簡単ではない。でもそれが職場の現実。チームで働く大変さと醍醐味を思い出してもらうために実践ゼミが役立っている」(事務局)
女性活躍が進んできたとはいえ、男女の労働力率には今なお差が残る。19年12月には「女性のためのリカレント教育推進協議会」が発足した。講座運営で実績を持つ日本女子大や関学大、明治大、福岡女子大、京都女子大、京都光華女子大の6大学が参加する。会長に就いた日本女子大教授の坂本清恵さんは「キャリアアップを望む女性が社会で活躍できるように、各大学のノウハウと経験を共有してリカレント教育の質向上を図りたい」と強調する。

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最終更新:2/23(日) 19:15
NIKKEI STYLE

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