これを書くいま、結果は出ていないが、今年第九二回を迎える米アカデミー賞作品賞の有力候補の一本。見る前には、第一次大戦中、一九一七年の「戦場の一日の出来事」を描く、ということで、昔見た戦争映画の名作『西部戦線異状なし』の雨が降り続き、濡れて冷え切った塹壕を思い浮かべたが、本作が描く戦場に雨の気配はない。
あるときドイツ軍が西部戦線の戦場から姿を消すという事態が起きる。これがじつは罠。航空機による上空からの偵察で野原には地雷が埋められ、周辺にはスナイパーが配置されていることがわかった。
それなのに、何も知らない英軍は明日一六〇〇人の兵士を投入して進軍することになっている。ということで若い兵士二人、スコフィールド(ジョージ・マッケイ)とブレイク(ディーン=チャールズ・チャップマン)が伝令として撤退ドイツ軍を追撃中のマッケンジー大佐のもとへ向かう命を受けた。兄が大佐の部隊にいて会いたいブレイクが友人のスコフィールドを道連れにして道を急ぐ。
監督のサム・メンデスが祖父から聞いた話を基にしたそうだが、若い兵士が放棄されたドイツ軍の堅固な塹壕の内部に驚き、予想もしなかった伏兵や襲撃に怯えながら必死でたどり着いてもその内容が指揮官に信じてもらえない事態が待っていた。そして直面する地雷原の恐怖は、この映画全体がそうなのだが、一つのエピソードが継ぎ目なしのワンカットで撮影されていることで、見る者にも逃げ場のない怖さとして迫ってくるのだ。
2020年2月14日(金)より全国公開
配給:東宝東和
最終更新:2/25(火) 17:08
中央公論






























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